元妻-4
それから数日後、勉強の為にアンナを1人で外回りに行かせて事務所で仕事をしていた修。あまり食欲がなく、コンビニでパンを買い、久々に近くの芝生のキレイな小さな公園でのんびり食べようかと思い外に出た。コンビニで大人ながらも大好きなメロンパンとコーヒーを買って公園に向かう。
「ん?」
公園につくと、ベンチで昼食をとる梨紗を見かけた。ベンチは1箇所しかなく、場所を変えようかとも思ったが、久しく会っていない元妻と話してみたくなった修はゆっくりとベンチに歩み寄る。
「すみません、隣いいですか?」
修が背後から声をかけると、少し驚いたような様子を見せる梨紗。
「あ、はい、どうぞ…」
少し端に寄り修の顔を見た梨紗。
「あ、確か…」
「すみません、高梨です。」
顔は覚えてくれたみたいだが、名前が出てこなかった事に少し寂しさを感じた修。
「ごめんなさい、まだ名前が覚えられなくて…。高梨さんですね。」
「はい。すみません、お昼邪魔しちゃって。」
「いえいえ、全然。」
「じゃあお邪魔します。」
修は少し距離を置き、やはり端に寄って座った。
「…」
修は胸が熱くなった。その理由は梨紗が食べていた弁当を見たからだ。元の人生では毎日必ず弁当を作ってくれた。いつも食べて幸せを感じるような弁当だった。梨紗の弁当を食べると、よし午後からも頑張ろう、そんな気分になれた。その梨紗の弁当を目の前にして、思わず見入ってしまった。
「や、やだ…、手抜きお弁当で恥ずかしい…」
恥ずかしがる梨紗。
「いやいや、美味しそうですよ?」
「そんな事ないです…」
「旦那さんにも作ってるんですか?」
「いえ、旦那はお弁当いらないって。だから夕飯や朝ごはんのあまりモン詰めてるだけで。」
「そうなんですか。(馬鹿な旦那だな!梨紗の弁当を断るなんて。信じらんないわ!)」
勝手に怒る修に梨紗は言った。
「お昼、それだけですか?」
「あ、はい。あまり食欲なくて。」
「ダメですよ?そう言う時こそちゃんと食べないと。あ、そうだ、おにぎりあるんです。一個食べます?」
「えっ?いいんですか?」
「はい。2個あるんで。どっちがいいですか!」
「んー、じゃあ右で!」
「あ、明太ツナマヨです♪」
「明太ツナマヨ…」
よく梨紗が作ってくれたおにぎりだ。修はこの明太ツナマヨが大好きだった。修の胸はどうしようもないぐらいにドキドキした。
「あ、苦手でしたか??」
「い、いえ!大好きです!いただきます。」
修は胸の高揚感を抑えながら、そのおにぎりを口に運んだ。