第一章 不条理なプロローグ(画像付)-6
夫に騙されて入った同伴喫茶で、藤本夫妻と出会った。
奔放な妻のかおりさんが強引に裕太を誘い、セックスを始めたのだった。
藤本達は常連らしく、スワッピングの新しいパートナーを開発すべく、隣にいた映見達夫婦の部屋に入り込んできたのだった。
ただでさえ、セックスに対して潔癖な感情を抱いていた映見にとって、それは信じられない出来事だった。
だが、不条理さと裏腹にスワッピングの、セックスの快感に引き込まれいく。
最初は嫉妬からだった。
愛する夫に裏切られ、ショックで頭が真っ白になってしまった。
孤独で狂いそうになった映見を、藤本は優しく包んでくれた。
巧みなリードと優しい言葉の嵐に、結婚後、倦怠感を抱く夫には無い新鮮さを感じた。
いつの間にかキスをしていた。
(それから・・・)
思い出して顔を赤らめた。
(フェラチオ・・・しちゃった・・・)
夫にさえ、したことが無かった汚らわしいと思い込んでいた行為を、初めて出会った見知らぬ中年に奉仕したのだ。
『そうよ・・・ゆっくりと・・・・
そう・・上手よ・・・』
耳元でむず痒い声で囁く藤本の妻に、レッスンを受けながら愛撫を続けていた。
記憶が、途切れ途切れに切断されていく。
《わ、わたし・・・》
何をしているのだろう。
《どうして・・ここに・・・?》
何度か浮かんでくる疑問を探るのだけど、直ぐに消えてしまう。
それはまるで夢の中の出来事のようで、何かフワフワとした感覚が映見を覆っていた。