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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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竿姉妹の情報網-1

 今日の当番も決まり、当番以外の女たちは休憩室を出ていく。

 ムツ子がハル子を呼び止め合図を送る。

 (ちょっと一服してこ)

 工場の裏口の横には灰皿代わりの一斗缶。ムツ子がタバコを咥え、ハル子にもすすめる。箱から飛び出した煙草を摘まんで口に咥えると、ハル子はマッチを擦る。ムツ子がタバコを寄せ火をつけると、ハル子も自分の煙草に火をつけて煙を吐き出す。

 鼻から煙を吐き出してムツ子が口火を切る。

 「アンタんとこの姉さん…○子やったかな、よろずやの本家のボンと付き合うてるって言うとったね
 「うん。そんな感じやね…。なんか気になるんか?」
 「もっと早うにわかりゃあすぐに教えてあげたんやけど、あれは止しといたほうがええな」
 「そうなんか?。なんでも、二十歳になったら嫁にするとか言われてるらしいで」
 「そうかそうか…。ボンの言いそうなことやな」

 ムツ子が辺りを見回す。

 「まず1つやが…」
 「いくつもあるんか…?」
 「ボンが心底どう思ってるかは知らんが、あのボンには虫がついとる」
 「虫?」
 「ああそうや。ボンとこの分家がバス停で商いしとるやろう?」
 「うん。あの、おばあさんがやってる…」
 「そうや。いま身体の調子が悪うなって引っ込んで、かわりに店に出とる嫁がおるやろ」
 「…そうなんか? 知らんかった」
 「そうなんや。その嫁がな、ボンに喰いついとるんやわ」
 「ホンマか? 前にチラっと見たときは随分気の強そうな感じやったような…」
 「そや、その女で間違いない。まあ、身内の間ではいろいろあったりもするやろうし、そのことをとらまえてアレコレ言えるような義理でもないけどな…、一応教えとかんといかんと思ってな」
 「そうなんか…全然知らんかった…。○子もボンから聞いたりはしてないんやろうな…」
 「そりゃ、そうやろ。男の方から、身内の年増女とデキとるなんてよう言わんわ」
 「でも、ムツ子さん、なんでそんなことを?」
 「まあ、アンタだから話すが、柳島に連れ込み旅館あるやろ?」
 「ある、ある、松林の中に建っとる…」
 「そうそう『松風旅館』。で、そこの雇われ婆さんが言うにはな『よろずやの次男坊と分家の嫁がたびたび来る』っちゅうてな」
 「そうなんか…」
 「男は女とは終いにしたがってるようなんやが、女の方がいろいろおどしもかけて離さんようやってな」
 「そうなんか…」
 「うん。昨日、婆さんとバスで乗り合わせてな。お茶おごってあれこれ聴いたん中の話でな。まあ、それが1つめや。もう1つある。こっちの方が重要かもしれん」
 「…ああ、そうやったね」

 今度はハル子がタバコを取り出してムツ子に取らせる。二人が2本目に火をつける。

 「ボンの家にはな…借金があるんや」
 「…ええっ?」
 「長男坊のバカ息子がおったろ。あれがハワイだかどっか…ラスベガスか? とにかくバクチで大損したんやと」
 「バクチ…」
 「それでオヤジさんが銀行から借金してなんとか支払ったそうなんやけど、銀行の借金がそのまんまでな。商売もあんまりうまく運んどらんようやしな」
 「そんな大きな借金…」
 「そうなんや。それでな…あれこれ手を回して、柳島から無理やり道路を引っ張って来てな、補償金でなんとかしようっていう算段らしいで」
 「…すごい話やな。…ミサヨの家は道路にかかって立ち退きなんやろ?」
 「まあ、ひどい話やけどな。金が入ることには間違いないから誰も何も言うまいがよ」
 「その話はもしかして…銀行の専務さん?」

 ムツ子がニンマリと笑って鼻から煙を吐き出す。

 「そうや。次男と四男の本当の父親よ。昨日、養育費をもらいに行ってな、ついでに話も仕入れてきた。ウソかほんとかわからんような話やが、筋としてはありそうやし、だいたい男が女に突っ込みながら吐く話はまあまあホントやからな…」
 「ありがとう、ムツ子さん。昨日の今日でそんな話まで」
 「若けえ頃の『オマンコ』が役に立っとるんよ。もちろん昨日の『オマンコ』もな」
 「…でも、どうやって○子に伝えたものやら」
 「○子はボンともう何度もシとるんか?」
 「…うん。この前も農機具小屋でシとったみたいやわ…○子とも旅館に行ってるんやろうか…」
 「いや…婆さんも見聞きしとりゃあ話すはずやから、多分行ってはいないやろ。分家の嫁とは『松風』で○子とは農機具小屋か…。まあ、若けえモンどうしはアオカンで決まりのところ、小屋の中っというだけマシってもんやけどな」
 「まあなあ…。わたしは相手がボンならせめてよろずやの離れぐらいでせんのかな…とは思っていたんよ」。
 「まあ、○子も高校の制服着たままでは『松風』にはよう行くまい…。わかった…。専務サンに一肌脱いでもらおう。養育費今月は2回もらいに来たっちゅうてな。あはは…。…それまで○子を孕ませたりしたらあかんよ」
 「気を付けるわ。ほんにありがとう」
 「そや、アンタも一度専務とシとかんか? アンタなら自信を持って推薦できるし、専務もまあいっぱしの男ではあるからなぁ。これから何かと役に立つと思うわ」
 「ありがとう、いろいろと…それにしても、わからんもんやなぁ…」

 しばらくして「ボン」から○子に一方的に別れ話が伝えられ、家には書留でいくばくかの現金が送られてきた。

 ハル子の夫は『娘をキズもんにしておいて詫びにも来んとは』と息巻いていたが、ハル子が『男っちゅうもんは、金持ちも貧乏人もすることはおんなじやなぁ…』と呟くとおとなしくなった。


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