スペクタクル・ブラック-12
売り場にはDVDを観ている男性客。だがアンナの姿を見ると恥ずかしそうにそそくさと離れて行く。
「男って弱いよなー?」
修が小声で囁いた。女がアダルトグッズやDVDのある店に入るなんて恥ずかしくて弱い立場だと思ったが、男も恥ずかしいんだなと思った。だが目の前にたくさんのいかがわしいDVDがあると、さすがに恥ずかしい。だが修はそんなアンナをわざと辱めるかのように話しかける。
「なぁアンナ。どーゆーのが観たい?」
「えっ?」
思わず周りをキョロキョロしてしまう。すると何人かは聞く耳を立てている様子だし、こちらを気にしている姿が見えた。
(やだ、会話聞かれてるじゃん…)
言葉に困るアンナにグイグイ話しかけてくる修。
「アンナ、フェラチオが上手くなりたいって言ったよな。このシャブリンピックっての、どうだ?」
「え…、どうしようかな…」
「あとオマエ、オナニー見せるの下手だから、オナニーもんにするか?」
「そ、そうねぇ…」
聞かれていると思うと恥ずかしくて仕方がなかった。
そんな会話をしながりあちこちのDVDを見て回る。
「絶頂地獄、腰砕の連続絶頂だってさ…」
アンナは嫌な予感がした。
(へ、変な事いわないでよー!?)
自分の事を何か言うんじゃないかと思いヒヤヒヤする。するとパッケージの裏を見ながら興奮気味に言った。
「凄げぇな!こんか可愛い子が白目剥いて涎垂らしながら何回もイッちゃうとか!オシッコまで漏らして。いやいや女は分かんないなー。」
まるで自分の事を言われているみたいでヒヤヒヤする。
(何か思い出すなー。沙織ん時もこんな事したっけなー。)
昔を思い出す修。沙織と同じく恥ずかしがるアンナに子供と大人の違いを見せろと言わんばかりに喝のローターが始動する。
「んっ…」
身構えていた為、異変は最小限に留められた。すると修が耳元で言った。
「ノリ良くしないとレベル上げるぞ?」
と。レベルが上げられたらきっと誤魔化し切れない。アンナは恥を捨て修の会話に合わせる。
「SMモンとかどうだ?」
そう言ってSMのDVDを手にする。いきなりハードルを上げて来たなと思いながらも話を合わせる。
「虐められるの、ちょっと興味あるかも…」
「そうか!どんな風に虐められたいの?」
「し、縛られてみたいかな。」
周りの客がこっちの様子を伺っている気配を感じる。
(ヤダァ、変態だと思われちゃう…)
アンナは体が熱くなって来た。