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きすのあと
【純愛 恋愛小説】

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きすのあと-3

すっかり日の落ちた空にイルミネーションが良く栄える。その光が突然消えたかと思うと、ドンッという音と共に夜空に大きな花が咲いた。
きっと夏休み最後の思い出になることだろう。
「綺麗…」
花火を作った人は天才だと思う。火薬から人を楽しませる事が出来るのだから。私は将来、何の仕事に就くのだろう。

「ねえ先生」
「ん?」
「何で先生やってるの?」
「う〜ん…最初はただのバイトだったからなあ…何だろ…今は正社員だけど、いまいちコレってもんは無いな」
「ふ〜ん」
「お前は?何かやりたい事ある?」
「私は…花火になりたい」
「はい?」
花火もフィナーレに入っている。花火職人だとしたら、今年最後の集大成だ。ここの花火は日本で最後に終わるらしい。
「わあ…」
色とりどりの花が咲き乱れ、鼓膜を破きそうな爆音と共に散っていった。夏の、終わりである。
あと4秒、3、2、1…
「一ヶ月記念、おめでとう」
今夜1番大きな花火と共に彼が呟く。そして彼との距離はまた縮まる。
ほら、3、2、1。

来年も続いていたら、また来たい。そんなはかない希望を抱きながら、不確かな未来へ想いを馳せる。一歩・また一歩と、私たちは禁断の道を歩んでいる。


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