麻薬 Scene1-2
私はスーツのジャケットを脱いで、ノースリーブのシャツになってから一息ついた。その時、ケータイがメールの着信を告げた。
大輔だった。
『今日、打ち合わせなくなったってよー飲みいこーぜ。』
返事をせず、ケータイを閉じた。
「あの…すいません」
呼び掛けられた声に顔をあげた。テーブルの横に立ち、顔を真っ赤にして私を見ている。
「はい?」
「あ、あの…俺、ここの常連で、あの…時々あなたのこと見掛けてて、あのっ!俺と友達になって下さいっ!!」
「え?」
思わずとぼけた返事になり、相手の顔を凝視する。
スーツ姿だが、顔は童顔。でも、普通にかっこいい部類に入る。顔は赤いけど。
「俺、時々高原さんのこと見かけてて、あの…………これ!俺の連絡先です!高原さんのも下さいっ!」
「は、はぁ…」
なんとなく勢いに押されて、私は名刺にケータイ番号とアドレスを書いて渡した。
大輔のベッドはセミダブルだ。寝相の悪い私に辟易したらしく、シングルから買い替えた。
そのベッドのスプリングが軋む。
「沙希……もっと腰振って……うっ……いいよ」
騎乗位で私は大輔を攻め立てる。大輔も下から突き上げるのを止めない。
「あんっあんっ!…あっ、大輔っ…ダメっ!」
いきなりクリ○リスをつまむ。
「ほら…足立てて。沙希のスケベなおま○こ、見せて」素直にM字に開く。大輔は言葉責めが好きだ。そして私はそれに弱い。
「俺のが入ってるの丸見えだよ。ま○汁が泡立ってる…沙希は淫乱だなぁ…」
「やん……言わないでぇ……大輔、ね…突いて…」
くるりと上下反対になり、大輔が私の足を抱え、そのまま肩を抱く。ぴったり密着した体位で、ラストスパートに入る。
「沙希、ちゃんとお願いして?何して欲しい?」
「ああん…大輔のおっきいので沙希のおま○こ、いっぱい突いてぇ……」
注釈しておくが、今夜は二人ともしこたま飲んだ。
お酒が入ってると、私は恥ずかしい四文字言葉がすらっと言えてしまう。
「どう突いて欲しいの?…もっとエッチな言い方しないと抜いちゃうよ?」
「あん、抜いちゃいやぁん…」
「ほら、言って?エッチな言葉、いっぱい使って……しないよ?」
大輔は軽くキスしながら、少しだけくちゅっ、と突いた。
「あぁ…大輔のおっきいおちん○んで、沙希のグチュグチュま○こ、もっとグチュグチュにして……奥までいっぱい激しく突いて、おま○こにいっぱいザーメンちょうだい…!あああっ!激しいっ……!!あんあんあんっ!!!」
耳元に大輔の荒い息を感じながら、私は一気に昇りつめた。
一瞬遅れて大輔も達した。しばらくきつく抱き合う。私の痙攣している体を、優しく撫でた。
ふうっと大きく息をつき、大輔が私の上から横に移動して、また抱き寄せた。
「もっかいしてもいい?」
「ダメ。ヒリヒリしてるもん。大輔も疲れたでしょ?だってもう3回もしたんだよ?」
実は、大輔の部屋に入ってからすぐ絡み合ったのだ。(玄関で)
「ううん……沙希となら何回でも出来る……」
とか言いながら、彼の目は閉じかけていた。腕を伸ばして、大輔の顔を胸元に寄せる。大輔は子供の様に、私の胸に顔を埋めた。
「沙希………好きだよ………………」
「はいはい。オヤスミ」
頭をぽんぽんと叩くと、大輔は指で乳首を弄りながら寝息をたて始めた。
大輔は、酔ってセックスすると必ずと言っていいほど、「好きだ」と言う。
言われる度に、嬉しくなり期待し、そして悲しくなる。
大輔の頭を撫で続けながら、涙がでてきた。
ゆっくり、大輔を起こさないようにベッドから出る。ベッドの横に置いた鞄からケータイを取り出す。
『メールが届いています』ディスプレイに表示が浮かんでいる。
送信者は、今日ナンパ?された人…既に何回かメールを交換していた。
『俺、高原さんが好きです。付き合って欲しい。』
性急すぎる告白。
でも、揺れていた。
大輔。大輔。
貴方が好き。こんな関係、永遠には続かない。
抱かれる度に、募る期待と切なさ。
いつか終わるなら、そんな時が来なければいい。
ケータイを閉じた。
液晶のライトが消えて、また私は一人闇の中に取り残された。