「向こう側」第三話-4
スグルはベッドにドスンと倒れ込み、深いため息をついた。
「あ〜なんか面倒なことになったな〜…来るときはあっけなかったのにな…」
そしてこの世界にきたときのことを思い返した。
ふとある考えが浮かび、ポケットに入っていたあの石を取り出すと、おもむろに天井に向かって投げた。
シュッ!
ドッ! コツッ
スグルの思っていたとおりにはならず、石は天井にぶつかりスグルの額にジャストミートした。
(んだよこの石!役に立たねーじゃねーか)
コロコロと床をむなしく転がる石を見ていたら、スグルもなんだかむなしくなってきたのでさっさと拾ってポケットに戻した。
「ふぁ〜あ、なんだかもうどうでもよくなってきたな…もしかしたら眠って目が覚めたら自分の家のベッドの上なんてことがあるかもしれないし一旦寝るか」
満腹であることと肉体的にも精神的にも疲れていたため、スグルはすぐに無意識の世界へと潜り込んでいった。
ちょうどその頃、スグルの母親は昼ご飯の支度にはいるとこだったが、スグルがまだ眠っているものと思い、二階へ起こしに行く。
「スグル!いつまで寝てるつもり!?休みの日だからってグータラすごしちゃだめよ!もうお昼なんだから…」
勢い良くスグルの部屋のドアを開けたが、そこにスグル姿はなかった。
「あら…おかしいわね…まだタロウの散歩から帰ってきてないのかしら?」
そう思い庭を見てみると、そこには犬小屋でくつろいでいるタロウがいた。
「変ねぇ…なんの連絡もないし…貴重品は部屋に置いてあるままだし…どこに行っちゃったのかしら…」
「…し……もし…スグル…ん……めを…」
誰かの声が遠くから聞こえてくる。スグルは徐々に現実世界へと引き戻されていった。