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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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役得と焼きそばと-6


 白ワインを二口飲んださおりさんがそう言うと、怡君さんが小さく微笑んだ。

「まあ、オーナーはもしかしたら、やさしいお兄さん代わり、くらいにしか理解していないかもしれないけど、怡君ちゃんは、ね。自分も似たような経験があるから、お兄ちゃんとしののこと応援したいって」

 思わず怡君さんの顔を見る。ちょっとはにかんだ怡君さんは、ワイングラスをカウンターに置き、さおりさんごめん、私のスマホ取ってください、と言った。さおりさんが渡したパープルのiPhone12をタップしていた怡君さんは、目当ての画像を見つけて、この人、と言いながら画面を俺に向けた。制服っぽい白いシャツを着た、今よりも相当幼い怡君さんと、ブルーのポロシャツを着て眼鏡をかけたスリムな男性が、どこかで見たことのある門のような場所で肩を組んで笑っている。画像の中の二人は身長差があるらしく男性は中腰だ。

「ここね、中正紀念堂の門のところ。右は中学になったばかりの私で、左は彼氏。このときは学校の先生になったばかりかな、小学校の先生」

 穏やかな口調の怡君さんの口元から漏れる、ワインの匂いの吐息。

「彼ね、最初は教育実習で日本人小学校に来たの。教員免許は日本で取って、中国語が少しわかるから台北の日本人学校に就職して、本採用になる前に、私がいた6年生のクラスで二週間実習したのね」

 有線があいみょんに変わる。

「……一目惚れだった。かっこよくて、話し声も素敵で。日本人学校の男の先生っておじさんばっかりだったから新鮮だったし。実習が終わって、先生がいったん日本に帰る前に告ったんだ、大好きです、って」

 頬づえをついて話を聞いているさおりさんが怡君さんを見つめる眼がやさしい。

「先生困ってた。それはそうよね、小学生に告白されても、ね。でも私は真剣だったの。だから、いったん日本に帰ってまた戻って来たときに返事をください、って」

「どうしてそのタイミングで告白したんだっけ?」

 さおりさんがそう言いながら、怡君さんのグラスにワインを注ぐ。

「私ね、親の方針で中学からは普通の、台湾人の学校に行くことになってたんだ。日本人中学に進んだら、またいつでも学校内で先生に会える、小学校と中学校は同じ敷地にあるから。でも私は地元の中学に行くから、もう先生には会えなくなる。だから、先生と『こいびと』になって、いつでも会えるようになりたいな、って思ったのね」


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