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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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牡のリングと牝の指輪-4

ニルスは賭博場で勝ったら、娼館へ遊びに行くつもりだった。思いがけず、奴隷が手に入ったので、もう娼館へ娼婦を買いに行く必要がなくなったので、少し得をしたと思っていた。

「遊郭?」
「酒場と宿屋と娼館を合わせたようなところですよ」
「指輪をしている娼婦は、自分の御主人様のために働かせているってことか」

遊郭の娼婦を奴隷の主人以外が身請けする場合は、奴隷の主人と遊郭へ身請け代を払い、奴隷の再契約をする。

「誰とも契約していない娼婦に、偽物の指輪をつけさせて、身請けしてくれる人から遊郭は再契約の代金を騙し取ろうとすることもあります」
「見分けがつかないってこと?」

奴隷かどうかを外見で見分けるのは難しいらしい。自分の御主人様以外と交わると、後からひどい頭痛に襲われる。かなり通いつめて長い時間を一緒にいないとわからない。また、頭痛薬を飲んで、頭痛がおさまってしまえばわからない。

「奴隷市場で、競売にかけられて買われる奴隷もいます。娼婦にして働かせるために、奴隷を買う人もいるんです。奴隷市場に連れて来られて競売にかけられる人の中には、だまされて奴隷商人に売られた人もいます」
「奴隷商人?」
「まだ奴隷の契約をしてない人を市場に売るために、鎖や手枷をつけて運んでくるんです。どこかの村人かもしれませんし、まだ子供もいますから、拐われてきたのかもしれません。奴隷市場に行けば契約していない女の人がいます」

ロンダール伯爵の呪いの指輪と御主人様のリング。
女伯爵シャンリーは、これを使って遊郭で娼婦を働かせていた。

「奴隷は、自分の御主人様のリングにふれたなら10日間は無事です。他の御主人様のリングなら、効果は半分しかなくて5日間しか無事でいられません」
「もし、リングつきの客が5日間、遊郭に来なかかったら?」
「遊郭の主人はリングつきの男性ですから、むりやりさわらせて延命するという噂です。私もそこはよくわかりません」

半年とか1年と期限を決めて、奴隷に値段を決めて、その期間内に貸付した金額を奴隷の主人が遊郭へ返済する。
必ず迎えに来るという約束を信じて待っている娼婦もいる。期限を越えて返済されない場合は、奴隷娼婦は遊郭の者として、主人の負債の肩代わりをしながら働き続ける。負債を完済すると身請けを待ちながら働き続ける。まれに期限に遅れても、負債を返済する奴隷の主人もいるためである。

「遊郭で迎えに来てくれないんじゃないかと疑いながら、生きるために自分の御主人様以外のリングにさわり続けるなんて、私は嫌です」

エイミーとニルスは、ベッドの端に並んで腰を下ろして話している。
ニルスは、落ち着いて話せないからとエイミーに言って、とりあえずパンツだけはいている。

「御主人様、他に知りたいことはありますか?」
「御主人様じゃなくて、ニルスでいい」
「では、ニルス様で。このバーデルの都では、御主人様を奴隷が呼び捨てにしたら、奴隷は罰せられます」
「それは、御主人様が奴隷を訴えるってことかな?」
「街の食堂で御主人様と奴隷が食事をしていて、失礼な態度で御主人様に接しているのを見た人が、親衛隊に報告することもあります」

奴隷が指輪を外そうと、御主人様を殺害したとする。その御主人様が3人の奴隷と契約していたとすると、残り2人の奴隷は延命手段として、自分の御主人様以外のリングにさわらなければ延命できない。殺害した奴隷は御主人様が死ぬとそれから1日で他の御主人と再契約しない限り死んでしまう。ふれただけでは延命できない。
奴隷が死んだとしても、御主人様は死ぬことはない。リングを外すことができるようになる。契約した奴隷が生きている限りはリングは、切断でもしない限り、逸物から外れない。

「奴隷は御主人様に、危害を加えることはできるけれど罰せられる。殺してしまったら、1日しか別の御主人様と契約しないと生きられない。逆に御主人様が、奴隷を遊郭で働かせたりしても罰せられない。奴隷が死んでも、御主人様の命には影響はない」
「そういうことです」
「相手にその奴隷の指輪をつけて、俺のリングにさわらせれば、契約できるってこと?」
「奴隷になったことのない人なら、そうだと思います」
「他の御主人様がいる奴隷は、さわらせると5日延命できるだけ。あと、ひどい頭痛が起きる。他の人の奴隷から、自分の再契約する方法もあるけど、エイミーはどうするのか知ってる?」
「遊郭で身請けするときに、再契約することもあるってことしかわかりません」
「エイミー、それって自分の奴隷が知らない間に、知らない人に再契約されて奪われるってこともあるってことじゃないのか?」
「再契約するために指輪を新しい御主人様のものと交換する必要があります。でも、元の御主人様との契約があるので、自分では外せません。奴隷が死んだら、リングは外せます」
「うん、じゃあ再契約できないよね」
「再契約するのに失敗すると、奴隷は死んでしまいます」

奴隷の指輪をつけかえる。
つけかえた指輪で、新しい御主人様と契約する。
そのために御主人様のリングに10日間ふれず、1度死んだ直後に、急いでリングを外してつけかえる。すぐにリングにふれさせる。間に合えば心臓は動きだすが、間に合わなければ、そのまま死ぬ。

「それだったら、むりやり御主人様と引き離して、意識がなくなったら大急ぎで指輪を交換したら、契約変更できるってことだよ」
「奴隷が死んでも新しい御主人様と契約変更したくなければ、そのまま死ぬのは簡単ですよ。意識がなくなるまで、ずっと左手を握っていればいいんです」

指輪を外させないように左手を握りしめたまま仮死状態になる。
仮死状態で手を握っていると、ぎゅっとそのまま握った状態で手が固まってしまうらしい。

エイミーが恥ずかしかりながら頬を赤らめ、奴隷が仮死状態にならない方法をニルスに話した。


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