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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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祓魔師の乙女たち-5

聖騎士の試練から生還してきた者は、どれだけ自慰をしても絶頂できずに、言葉も忘れ、自慰を続けて身悶えるばかりの状態で、やがて食事も睡眠も忘れて、衰弱しきって死ぬ。
異界から生還する時、代償で何か分かりやすい体の部分や感覚などを奪われていない時は、見えない潜在する魔力を奪われてしまっていることがある。
そうなると救済処置の施しようがない。マルティナの姉エルヴィールは、淫獄で陵辱されずに視力を奪われて生還した。淫獄で陵辱されていたら、潜在する魔力を奪われてしまい、自我が回復することはなかっただろう。

自宅へ姉を連れ帰ったマルティナは絶頂できずに欲情している姉のエルヴィールに、口移しで小粒の魔石を飲ませた。
魔石の魔力を使い潜在する魔力を感知すると、マルティナは何度も唇を重ね、欲情しているエルヴィールの興奮と魔力をさらに高めさせていく。
マルティナがエルヴィールの潜在する魔力を感知して、解放へ導いた。ベッドで全裸で抱き合いながら、姉妹ふたりは同時に絶頂した。

ふたりが目を覚ました翌朝には、エルヴィールは話すことができるようになっていて、自我が回復していた。欲情しっぱなしの状態からも脱していた。異界から逃れる時に肉体が生成されたが、その肉体からは、魔力の流れが失われ停滞していた。マルティナがエルヴィールの潜在する魔力を解放したことで、全身に魔力が巡るようになった。
しかし、マルティナの視力は回復することはなかった。聖騎士の試練からの帰還者で、生きている者はかなり少ない。そして、生還者は記憶や自我を失っている者ばかりである。
マルティナは姉の回復のためとはいえ、姉のエルヴィールに対し快感を共有し、淫らな行為で潜在する魔力を覚醒させ、全身に巡らせるという方法で行ったことが教団内で協議された。
しかし、マルティナの生還者の回復という成果から、古都ハユウで姉妹が暮らしていて監視下にあることもあり、神官マルティナは、教団にエルヴィールの回復の過程の記録をすべて報告することを条件とし、処罰については保留とされた。
処罰とは、神聖教団で行われている秘儀を知るマルティナの場合は、信者や僧侶に淫らな儀式を知られないように死刑以外にはない。
手紙や書物が読めなくなったのが不便だけれど、料理の味や匂いは以前よりも良くわかるようになったとエルヴィールはマルティナに笑顔で話していた。
魔力が全身に巡っているせいか、物や人の気配を察することが、マルティナにはできるようになっていた。
ミレイユが訪れた時には、聖騎士の試練に挑むことを止めておいたほうがいいと
聖騎士の試練の経験者として、エルヴィールは強く忠告していた。
ミレイユが試練に挑み、魔剣ノクティスを入手して生還するまでの10日間が終わった。聖騎士となったミレイユがエルヴィールに会いたいと言ったので、マルティナはミレイユを連れて自宅へ帰ってきた。

「部屋の床は血まみれで、エルヴィールは、うつ伏せに倒れていた」

床の血はマルティナの姉エルヴィールが吐血したものらしく、遺体には外傷はなかった。血まみれの床の上には、小粒の血よりも鮮やかな紅い魔石の玉石が転がっているのにミレイユは気づいた。

「マルティナ、どうやら彼女が最後に伝えたいことがあるようだ」

マルティナは、ミレイユから魔石の玉石を受け取り、手の中で握った。エルヴィールの魔力と、残された思念を感じ取ることができた。

エルヴィールの視力がなぜ回復しなかったのかをマルティナは理解した。それは夢の中で、エルヴィールに淫獄の光景を霊視させ続けるためだった。そして、エルヴィールは何かの強い意思を心に伝えられ続けていた。
贄を捧げよ。
その呼びかけに、いつまで抗うことができるのかわからないとエルヴィールは内心ではひどく恐れていた。それをマルティナには隠し続けていた。
蛇神の呪縛からは、自我が回復しても逃れきれていなかった。マルティナは身代わりの法術で呪われた肉体から、エルヴィールの潜在する魔力を覚醒させた。
エルヴィールは、訪問したミレイユに魔物の調伏の難しさを話して聞かせ、聖騎士の試練を止めるように忠告した。霊障によって、じわじわと心が蝕まれていく恐怖をエルヴィールは耐えていた。
真夜中に目を覚まして、マルティナをいつか手にかけてしまうのではないかと感じる瞬間は何度もあった。魔石の魔力でエルヴィールとマルティナは感覚を共有していた。姉妹だが淫らな交わりを続けて愛し合っていると、ふたりでひとりになったような感覚の快感がある。
調伏に失敗して祟られている霊障が、治療しているマルティナにも、すでに影響を与えているのではないかと、エルヴィールは危惧していた。
姉妹で淫らな行為で愛し合うことは、教団の戒律では禁じられている。しかし、エルヴィールの体に魔力を巡らせるために必要だと、エルヴィールが欲情するとマルティナはふたりで絶頂して眠りにつくまで行為を続けていた。
そのエルヴィールの欲情は、贄を捧げよという意思とつながっている。自分の魔力を奪い尽くしたら、次はマルティナが祟られると考え、エルヴィールはミレイユが聖騎士の試練に挑み、マルティナがミレイユを10日間、召還の儀式を神殿で行って留守の間に、一度融合した魔石を肉体から取り出す儀式を行った。
魔石で姉妹で快感と魔力の連携が強くつながるほど、祟りがマルティナにも降りかかるおそれがあった。
魔石が肉体から大量の吐血に混ざり吐き出された途端に、エルヴィールは魔力を巡らせることができなくなっていた。
帰還した時にすでに憑依されていた。死んだあと、肉体に残った魔力で怨霊となり、次の獲物を狩るためにエルヴィールは逃がされた。
肉体から障気となった禍々しい気配が離れて解き放たれたのを、エルヴィールは魔石の中で感じ取っていた。
憑依していたものは、エルヴィールの潜在する魔力をマルティナに引き出せ、利用しようとしていたことを理解した。


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