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Sorcery doll (ソーサリー・ドール)
【ファンタジー 官能小説】

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世界樹の乙女-4


「んっ……でも……んんっ……」

スライム娘は恥ずかしがって声をあまりこぼさないように、一生懸命、眉をしかめて目を閉じて我慢している表情はとても艶かしい。
にちゅ、にちゅ、にちゅ、にちゅ。マキシミリアンは、容赦なく肉棒で突きまくっている。

「スライム、もう我慢できない!」

マキシミリアンがぶるっと背中を震わせて、スライム娘の体内に白濁した精液を放つと、スライムの体内の発光する魔石の玉石までかかりそうな勢いだった。

「んぅぅ〜っ……はぁ、はぁ、はぁ……御主人様の……すごく、あったかい……です」

スライム娘はかなりおとなしいが、他の魔物娘よりも人間好きだった。リーナが元人間で僧侶だったと話すと、少し目を閉じてとリーナに言った。

「もう目を開けてもいいですよ」

スライム娘は、神聖教団の法衣を着た少女の姿になって見せた。すると、リーナが驚き、ぽろぽろと涙をこぼした。

「リーナちゃん、どうしたんだ?」
「……ごめんなさい、人間だった時の私とあまりにそっくりで」

ハンターのレナードとリーナは、ダンジョンの探索の中に出会った。その時、リーナが、食糧を何かに分けてあげたことがあった。部屋の中に気配はあるが、見当たらない。でも、なんとなく怯えている気配だと感じたので、その部屋の床にそっとサンドイッチをひとつ置いて、部屋から立ち去った。

「あれは、サンドイッチというものだったのですね。ごちそうさまでした」

部屋の隅っこの明かりの暗がりで、必死に床と壁になりきって、スライム娘の幼体は隠れていた。その頃はまだ、育ち盛りでいつも空腹だったらしい。

「こわがらせるつもりはありませんでした。お口に合うかわかりませんが、良ければお召し上がり下さい」

リーナは、怯えているものに言葉が通じるかわからないけれど、心をこめて、そう言ってみた。
ふたりが立ち去ったあと、スライムはサンドイッチを補食してみた。
とてもおいしかった。
他の人間は、幼体のスライムを見かけると、透けて見える魔石を狙って追いかけまわしてくる者ばかりだったから、怯えて暮らしていたのだという。

「僧侶様っていうのは、自分の食べ物がなくなるかもしれなくても、他のやつに分けてやるのか。しかたないな、リーナには、俺の分を分けてやるよ」

リーナにあきれたように、レナードがそう言っていたのを思い出した。スライム娘は「僧侶様」という言葉や、その時にレナードの言ったことを、すべて覚えていた。

「人間の言葉が話せるようになって、本当に良かったと思います。会いたい人に再会できて、ずっと伝えたかった感謝の気持ちを伝えられたのですから」

スライム娘は、泣いているリーナの手を優しく撫でてやっていた。スライム娘の話す言葉や口調は、リーナの口調に良く似ていると、マキシミリアンは思った。

(もし、リーナがサンドイッチを分けてやっていなければ、人間の姿に擬態してハンターを襲うスライム娘になってたかもしれないな)

「リーナ、レナードという人に会いたいですか?」
「はい、とても会いたいです」
「リーナの姿や声がちがっていても、レナードという人は、リーナだと気づいてくれそうですか?」
「それはわかりません。でも、レナードと私は再会すると約束しました。会いたいです」
「他に会いたい人はいますか?」
「はい。獣人族のアルテミス、錫杖を賢者の石にしてくれたロエルさん、レナードのお姉さんのフレイヤさん……私はいろいろな人に助けられながら旅をしてきました」

リーナは、スライム娘にせがまれ、旅で出会った人たちとの思い出をゆっくり話して聞かせた。

「ダンジョンにも、他の魔物娘がいて、みんな私の仲間。みんな、御主人様のことが好きだから。リーナは、レナードが好き。会えるといいですね」
「はい、ありがとうございます」

即席でマキシミリアンが作成した部屋はスライム娘がひとりで暮らす部屋になった。リーナとマキシミリアンは、家具は来客用のテーブルと椅子が置かれただけのスライム娘の部屋にいる。
マキシミリアンは、親友クリフトフの息子レナードが、ターレン王国に潜入している神聖教団の案内人(ガイド)になっていることや、リーナがとてもレナードに会いたがっていることを知っている。錫杖に宿っている間にリーナから事情を聞き出した妻のセレスティーヌから、マキシミリアンはリーナの事情を聞いていたからである。
リーナが魅力的になっても手を出せないのは、リーナの抱いているレナードへの恋心も大きな理由だった。もしも、恋心がなければ、蛇神の異界からリーナが、ダンジョンへと脱出することはできなかっただろう。

ダンジョンの探索中に、あからさまに宝箱と思われる装飾された豪華な箱を見つけたら、ハンターの中級者なら手を出さずに立ち去る。
魔獣を討伐して出現する魔石やアイテムがお宝であって、どんな強い魔獣と戦って生還てきたかということは、ハンターの同業者には自慢になる。
犠牲者の遺留品である落とし物を拾ってくるのは、自慢にはならないがそれで稼いでいるハンターもいる。
ただ、誰がわざわざ、ひとりで運ぶには重くかさばる宝箱などを、ダンジョンに運び込んで置き去りにするというのか。ダンジョンの中に隠したと考えるには、取りに来るのが難しいという意味で隠し場所としては適してないという事をふまえて考えてみれば、明らかにおかしい。それでも、魔石やアイテムがいくらで売れるかしか考えていない者は、鍵のかかった宝箱を壊してでも、中身を取り出してみようとする。

「おーい、起きてるか?」

広めの大部屋に、ぽつんと置かれた宝箱のふたを撫でながらマキシミリアンは宝箱の中身に声をかけている。

「もしかして、しばらく僕が来なかったからすねてるのか?」

するとガバッと宝箱のふたが勢いよく開いた。マキシミリアンが半歩下がる。


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