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BLUESKY=MYLOVER
【悲恋 恋愛小説】

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BLUESKY=MYLOVER-1

「この頃少し立ちくらみがするの、頭も痛いし…疲れてるのかしら?」彼女のさきがこめかみを押さえながらソファに座って仕事の資料に目を通している僕に言ってきた。
「えっ?いつから?」「一週間くらい前かしら」「ん〜疲れがたまってるかもしれないけど一応病院に行ってみたら?」僕は資料から目を離すことなく彼女の顔も見ず言った。
「裕斗は一緒に来てくれないんだ…」彼女の呟いた言葉は僕の耳には届かなかった。



それから一週間は仕事に追われさきの体調を気にしてやる余裕もなかった。
そして仕事が一段落したので僕たちは久しぶりにデートを楽しむため待ち合わせをしていた。いつも約束の時間よりも早く来ているさきがまだ来ておらず「今日は僕が先か、まぁすぐに来るだろう」と甘い考えだった。しかし約束の八時を過ぎても来る気配はない。
妙な胸騒ぎがしてさきに電話をかけてみた。『……………………』コール音が虚しく続く。嫌な予感がする…。僕は走り出した、スーツで走りにくいが気にしている余裕はない。息が上がり心臓も慌ただしく動いているが足はとめなかった。
さきの家について呼び鈴を押すが返事はない。玄関は鍵がかかっておらず中に入った。
「さき、いるのか?」見慣れた部屋に入るとソファの横にさきが倒れていた。
「さきっ!!」「…裕…斗……ご、めんね…待たせ、て……」「何言ってんだよ!!すぐ救急車呼ぶから!!」
そのあとすぐ救急車で運ばれさきは検査入院することになった。そして担当医に病名を聞いて頭が真っ白になった。
「さきさんは脳腫瘍です。手術してとるには難しい場所にあり血管を傷つけ死に至る場合も………」それからの話しは頭に入らなかった。ただ医者が最後に「もってあと半年です。」



僕は彼女の病室の前に立ち深呼吸をして中に入る。
「あっ裕斗、検査の結果聞いたんでしょ…どうだった?」胸がはりさけそうだ…。
気を抜くと涙が出そうな程気持ちが弱っていた。
「大丈夫だって、過労だったよ。ゆっくり…や、やすめ、ば…だい…じょう…ぶ……」
限界だった。涙がとめどなく溢れた。「そう…ごめんね。」さきの方が辛いはずなのに、さきは笑顔で僕を抱きしめてくれた。
その手がとても温かくて失いたくなかった。


「ねぇ裕斗、私裕斗とたくさん一緒にいて、たくさん思い出をもっていきたい…私の最後のワガママ聞いて?」穏やかな口調で話す彼女の言葉の裏には強い決意のようなものを感じた。
「いいよ。僕も一緒にいるつもりだった。例え嫌がってもね」はにかむ僕に彼女も微笑んでくれた。



それから僕は仕事を辞め病院で寝泊まりする毎日となった。外出許可を出すことは今の段階では無理だと担当医に釘を刺されたのでしかたなく病室でたわいのない話しや付き合い始めた頃の昔話をしていた。ひとつひとつが新鮮で、これまで多忙な仕事のせいにし、さきと向き合おうとしなかった自分を後悔した。
病院生活もちょうど五ヶ月目にさしかかりさきは目に見えて弱っていっていた。さきをこのまま死なせる訳にはいかない。「さき、どっか行きたいとこないか?」「そ…ら、みた…い…」「よ〜し!いいよ!じゃあ屋上行くか」さきが力なく微笑む。


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