蛇の夜-2
ナイフを握っていない手が、レスフィーナの股間の淡い茂みを撫で上げる。
耳を甘噛みしたあとは、レスフィーナの脇の下に顔を近づけて、シャンリーは舌を這わせる。
びくっと少女が恐怖と隣り合わせの愛撫に身を震わせる。
シャンリーは、レスフィーナがどこを愛撫すれば感じるかを熟知していた。
ナイフが少女の乳房から離される。
シャンリーは脇の下を愛撫しながら、ナイフの刃で、少女のしなやかな脚の太腿のあたりを撫でるように切った。
「シャンリー様、ゆ、許して……んんっ」
レスフィーナの唇を、シャンリーの赤い唇がふさぐ。シャンリーは、レスフィーナの口の中に舌を入れて舌を絡ませる。
「ふぁっ……んあっ、あぁっ!」
シャンリーは長いキスのあと、レスフィーナの淡い茂みをかき分けて、股間の秘裂を指先でほぐすように撫で上げる。
ナイフの身を喉元に押し当てておいて、少女の秘裂を弄り続ける。
「あら、濡れてきたわね」
シャンリーはナイフを喉元から離し、少女の鼻先に、愛液に濡れた指先をゆっくりと近づける。
「舐めなさい」
レスフィーナが唇を開くと、愛液のついた指先を咥えさせる。
レスフィーナが目を閉じて、必死にシャンリーの指をしゃぶる。
娼館では、客のものをしゃぶるのを教えるために、指をしゃぶらせる。
舌づかいや、吸いかた、唾液の含ませかたを教える。
「しっかり舐めなさい」
シャンリーは少女に指についた愛液を舐めさせながら、ナイフの刃のない身で、太腿の傷の上を軽くぴたぴたと叩いた。
シャンリーの指がふいに引き抜かれる。少女の髪をがっしりとつかみ、あごを上げさせる。
ナイフで喉を切られると怯えたレスフィーナの首筋から鎖骨のあたりを、シャンリーは顔を近づけて、ちろちろと舌を動かしながら舐めた。
シャンリーは顔を離すと、しばらく何も言わずに一歩離れて、ナイフを持ったまま正面から、レスフィーナをじっと見つめ続けた。
視線をレスフィーナは感じているが、シャンリーに目を合わせられない。
撫で切りされた腿の痛みがある。
背中はあまり痛まない。
シャンリーが微笑を浮かべ続けている。
レスフィーナの頭がぼんやりとして、背筋に寒気が這い上がってくる。
ナイフの刃に、死なないが、発熱するぐらいの毒が塗られていた。
シャンリーが、ナイフを床に置いて、レスフィーナを抱きしめてきた。
(シャンリー様っ、私を許して下さるのですね)
そのままシャンリーが、キスを繰り返しながら、両手でレスフィーナの双乳を揉みしだく。
そのあとは、シャンリーに乳首を舐め転がされながら、股間の秘裂に指を挿入されて、ゆっくりと動かされる。
「あっ、んあっ、シャンリー様っ!」
くちゅ、ぬちゅ、と卑猥な音と、レスフィーナの嬌声が地下室に響いた。奴隷の少女を吊り下げている鎖が揺れる。
「んっ、はぅっ、あっ……んんんっ!!」
レスフィーナが絶頂し、びくびくびくっと身を震わせた。
はぁ、はぁ、はぁ、とまだ息を乱しているレスフィーナを、シャンリーがしぱらく抱きしめていた。
レスフィーナがもうお仕置きから解放されると抱擁されて安心した顔を見たシャンリーが、体を離し、再びナイフを床から拾い上げた。
「えっ、あ……きゃああぁっ!!」
ザクッと、レスフィーナの乳房が深く切られて裂けたような傷ができた。
さらに、ザクッ、ザクッ、と上腕や脇腹をシャンリーが無言で、微笑したまま切り裂いていく。
さらに、激痛で泣き叫ぶレスフィーナの口にナイフを押し込む。
ザクッ、と片頬が切り裂かれた。
痛みに気絶したレスフィーナが、うなだれる。
「うっ……ううっ……」
レスフィーナが目を覚ますと、シャンリーが、男性の勃起したものに似せて作られた木製のディルドをレスフィーナの秘裂に押し込んでいた。
そのディルドはシャンリーが、レスフィーナを寝室で何度も悦ばせるために使っていたものだった。
シャンリーは、ディルドを突き入れたまま、レスフィーナのみぞおちから下腹部あたりまで、真っ直ぐに切り裂いた。
裂かれた腹部から、色鮮やかな腸が飛び出してくる。
鎖と手枷に吊るされたまま絶命したレスフィーナの無残な姿は、蛇の夜の生贄の巫女ようであった。
シャンリーはそれを見てもなお、微笑を浮かべたままである。
返り血のついた漆黒のロープを脱ぎ、銀のナイフをそれで丁寧にぬぐうと、シャンリーは地下室から立ち去った。
レスフィーナは、他の娼婦から妬まれていた。もしも、客はあまり取れないが、他の娼婦たちに愛想がよく、女主人のシャンリーから寵愛されていなければ、トレジャーハンターのレナードを逃がしたことを、他の娼婦たちから密告されて殺害されなかったかもしれない。
古来より、人間の最大の死因は人間関係のトラブルである。
蛇神の錫杖は、僧侶リーナが受け継がれて護身用に使用している。
蛇神のナイフは、シャンリーが、満月の夜、生贄を捧げるために使用している。
失われし蛇神の神具は、錫杖とナイフだけではない。
祭祀書が存在したと伝えられている。
「んっ、あぁっ……んっ……」
寝室のベッドで、シャンリーは全裸になると、自慰に耽っていた。
地下室で奴隷娼婦の少女レスフィーナを殺害したあと、興奮して寝つけない。
蛇神のナイフを使ったあとは、欲情してしまうのは、いつものことであった。
乳首が痛いほど勃っているので、指先でふれると、腰が震えるほど気持ちいい。
これが魔導具の呪いのせいだと、シャンリーは気づいていなかった。
同じ満月の下では、娼館から逃亡したハンターのレナードが、宿場街から離れ国境を目指していたが、ついに街道で禁断症状の激痛や吐き気に苦しみ、動けなくなっていた。