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出会い
【ガールズ 恋愛小説】

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乙女心-2

『こんばんは。センパイ。センパイたちも来ていたんですか』
『うん。受験生といっても息抜きくらいはしたいしね』
『よく言うよ。詩帆なんか特に勉強しなくても学年一番なくせに』
 三人の優秀さは噂では聞いていたんだけど、具体的な順位までは知らなかったな。
 詩帆センパイが一番頭がよさそうだとは思うけど、確か華帆センパイも、真帆センパイも大して差は無かったはず。
『ちゃんとしてるわよ。それに勉強しなくてもできるって言ったら、あなたのほうじゃないの?華帆。この前だって学年二番だったじゃない。それに真帆は学年三番』
『それでも、詩帆にはかなわないもん。ねえ』
 華帆センパイと真帆センパイが顔を見合わせる。どちらも謙遜しているようだけど、あたしにはどっちもすごいと思う。
 あたしもセンパイたちには程遠い。もう少し頭がよかったならなあ。

『彩夏ちゃんは。まあ頑張って。バスケだけで生きていくことは難しいわね。』 厳しい視線。そうね。バスケだけじゃ生きていけないわ。
『涼子ちゃんは賢そうよね。頭いいんでしょ』
『そういえば、涼子ちゃんは学年で一番だったような』
『やっぱり!?彩夏さんと違って優秀に見えたから』『華帆。それは彩夏さんに失礼だよ』
『えへへ。ごめんね、彩夏さん』
 友達が優秀なのにあたしが駄目なんて、なんか悔しいわ。でも、相手が涼子ちゃんなら仕方ないかも。
『あたしだって特別何かしているわけじゃないですよ』
 特別何もしてなくても学年一番になるってほうがすごいわよ。
 まあ、涼子ちゃんだって本当に何もしていないわけじゃない。
 あたしも涼子ちゃんを見習わないといけないかしら。

『そうだ。彩夏、この際涼子ちゃんに勉強を教えてもらいなさい』
『ええ!?センパイ今なんて』
『そうね。後輩の成績が及第点ぎりぎりとはセンパイとしては不安だわ。涼子さん、お願いできるかしら』
 話が勝手に進んでいますよお姉さま方。
『ええ。いいですよ。あたしなんかでよければ。ねえ。彩夏さん』
 涼子ちゃんは知っていてやっているのだろうか。あたしは彼女の笑顔に逆らえない。
 だから、あたしは無意識的にうなずいていた。センパイたちがしてやったりと言う顔を見て、自分がそう頷いたのに気付いたくらいだから。
 それにしても、涼子ちゃんの笑顔の効力を知っていたのかセンパイたちは。
 そう思うと顔が赤くなった。秘めた思いが知れられてしまった気がしたから。

『ところで、せっかくのお祭りデートを邪魔しちゃったわね。おごるわ。クレープでいいかしら。』
『っデ、デート!?ってあっすいません』
 そんなあたしの目の前においしそうなクレープが差し出される。おおきなクレープ。一番高くて長い名前のものかしら。
『いいのよ。気にしないで』
 センパイたちがもってきてくれたクレープを受け取る。ごまされていない?あたし。

『おいしい。やっぱり、お祭りといったらクレープよね。彩夏さん。あはっ。ほっぺにクリームがついてる』
 涼子ちゃんの指があたしの頬をなぞり、クリームをすくい、それは彼女の口へ。
『はい。おいしい』
 顔が赤くなったとか、そう言うことじゃないわ。

『あらあら。これじゃあ、まるで恋人同士ね。』
 華帆センパイが詩帆センパイと真帆センパイと顔を見合いながら言う。
『ええ!?そんな』
 涼子ちゃんの頬もほんのり紅に染まり、片手で髪をいじっていた。っていうか、なんで涼子ちゃんが照れるのよ。

『ふう。これなら涼子ちゃんに任せれば安心ね。まあ、違った意味では不安ではあるけれど。』
 忘れていた訳じゃないのに、涼子ちゃんってどうしてこんなに天然なのかな。もしそうではなかったら、それはそれで恐ろしいけれど。


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