お江戸のお色気話、 その12-3
お染めはなぜか、あの頃のことを思い出していた。
その日、家に帰ってきたお染めの姿を見て、母親のお嘉代は驚いていた。
「どうしたのその格好は?」
お染めは、初めそのことをどうしても母には言えなかった。
ただ、黙って泣いていた。
心配した母に聞かれて、ついにそのことを話すと母は泣きながら抱きしめてくれた。
「ごめんね、お染め、お母さんが頼んだばっかりに……」
「ううん……」
それから、しばらく二人は抱き合って泣いていた。
あれから月日が経ち、そのことも忘れていたお染めだった。
あの日、男達に犯されたことが何故か蘇ってくるのだ。
しかし、不思議なことにそれは男達に犯された嫌な記憶ではなく、
あの時初めて味わった快感だった。
男達は無理矢理に犯すのではなく、お染めにも快感を与えていた。
一人は、お染めの股間を舐め、もう一人は身体中を愛撫し、
乳首を吸われた時、実はお染めは幾度となく逝っていた。
その経験は初めてだった。
男達に犯されながらも快楽ということを知り、逝かされていた。
少し大人になってからは何故か、その快感を思い出し
股間を触っている自分がいる。
そのことを思い出しながら、今お染めは玉五郎に抱かれている。
母親が隣にいて自分と同じことをされたいと言う。
お染めは玉五郎という優男の男根を嵌められていた。
あの時の快感が再び訪れようとしている。
玉五郎の性技は巧みで、お染めはそれが好きだった。
その男に、母親と自分が感じさせられていることが信じられなかった。
今までのお嘉代はお染めにとっては優しい母親だった。
しかし、最近は娘のお染めに男が出来たことを知ってからは、
娘を性的に意識するようになってきた。
お染めの身体が、女の自分から見ても妙に艶かしいからだ。
自分も若い時には、溌剌としていてその身体に男が夢中になったこともある。
今は、その頃とは違い、少し体形が崩れてくるのを自覚していた。
夫が好きだった大きな乳房は以前よりも張りがなくなっている。
触れば弾けそうだった弾力も今はない。
さらに、今更ながらに、夫と交わることも無くなって いた。
そのために、女として感じて濡れることも無い。
それでも、娘にはない女として熟れた身体には自信があった。
それは男を知っているという感覚と、まだ燻っている女としての自覚だった。