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『洋蘭に魅せられたM犬の俺』
【SM 官能小説】

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『洋蘭に魅せられたM犬の俺』-7

 (5)
 俺が連れていかれたのは白亜の建物の裏手にある薄暗い物置小屋の片隅。一メートル四方の檻の中に押し込まれた。
立ち上がることはおろか、手足を伸ばすことも出来ない。土下座の姿勢で、じっとしているほかない窮屈このうえない苛酷な監禁だった。
黒衣も剥ぎ取られ、首環を首に嵌めただけの丸裸にされていた。
その状態で三日三晩過ごした。
「このことはすべて麗様のご命令だからね」
メイドのその一言で、俺は檻の中の監禁を受け入れることが出来た。
麗様のご意思なら何だって耐えられる。そう思った。
三日目になって俺を苦しめていたわずかな自我も綺麗に消え失せると、監禁に耐えているという気持ちすらなくなった。
俺は耐えてるんじゃない。
俺は麗様の気配を感じ、麗様に支配されている自分を幸せに思った。
もっと支配され尽くしたいとさえ願った。
檻の中に入れられた始めのころに恥辱と感じていたのが不思議にすら思えた。
恥とは何か……自分を偽ることだと悟った。
檻の中で全裸を晒していることも、赤いリボンの付いた犬の首環を嵌めいていることも、勃起しっぱなしの股間をメイドたちに見られることも、恥だとは思わなくなっていた。
俺は……檻の鉄格子にまで麗様の気配を感じていた。
麗様にすべてを捧げることでしか、俺には歓びも生きてる価値も生まれない。二度と偽りの生き方、仮面を被った生き方をするのは御免だった。
「おまえは発情することしか能の無い変態だね」
いきり勃ったまま、ずっと萎えることを知らない男根をメイドにからかわれた。
「はい。檻の中でも麗様を感じて、どうしても勃ってしまいます」
俺は胸の内を曝して、尻を振ってみせた。

 背が高くてスラッとした老執事が檻の前に来たのは四日目だった。
「あなた様はご立派な絵描きさんだそうですが……こんな情けない格好で獣のように檻に入れられて、口惜しいと思われませんか」
きっちりと黒服に身を包んだ老執事は何を考えているのかわからない能面のような表情で俺を見下ろしていた。
「とんでもありません。檻の中で、いろいろ悟ったこともあります。今のわたしを情けないとは思っていません……でも、麗様にお目にかかれる日が待ち遠しくてなりません」
 俺は素直な心の内を告げた。
「……そうですか。檻が気に入られたようですな」
額の禿げあがった老執事は表情を崩すことなく、紅桜色の小さな三角布をポケットから取り出して檻の天井にそっと置いた。
執事の意図はよくわからないが、その布切れが何であるかはすぐに分かった。麗様が穿いておられたモノだ。馨しい濃密な香りが全身をすっぽりと包み込み、俺を狂喜させた。
「ああっ……これは、麗様の香りですねっ。嬉しいですっ」
 信じられない歓喜の波が襲ってきた。
 男根が極限にまで勃起しきってビンビンと弾み、毛細血管がぶち切れた。
 老執事の目を気にすることなく、俺は砂漠で命の水を求める旅人のように鉄格子の天井に顏をがむしゃらに押しつけ、紅桜色の布切れに鼻を埋め、長く舌を伸ばした。
 飢えた犬のように懸命に舌を絡ませた。
 卑しい奴と執事に思われただろうが、それも気にならなかった。
滑らかなシルクの感触に舌が蕩けた。
(ううっ。た、たまらなくなりそうだっ)
ただでも爛れていた脳髄を焼かれ、擦られてもいないのに怒張が一気に白濁の劣情を噴きあげた。
「ああっ。ご、ごめんなさいっ」
「フォッフォッ。恥知らずなお方だ……しかし、少々悪戯が過ぎましたかな」
 老執事は単なる悪戯だと言ったが、俺には全身が戦慄するほどの歓喜の波が次々に押し寄せてきた。
「ああっ。こ、こんな素敵な香りは他にありません」
なおも麗様の甘美な香りに酔い痴れる俺から残酷にも三角布を取り上げ、老執事はポケットに戻してしまった。
執事が俺をテストするために来たのだとしたら、果たして合格だったのだろうか。
俺は審判を仰ぐ被告のような静かな目で執事を見上げていた。
「麗様は近々、あなた様とお会いになるかもしれませんが……」
「な、何でしょう」
 俺はドキドキしながら訊いた。
「あなた様にはもう少しまともになって頂かないといけません」
「はあ。まとも、ですか……」
 今更まともな紳士面の仮面を被れと言うのだろうか。
「ちょっとは頭を冷やして頂かないと……」
 老執事には麗様に恋狂いしている俺が異常としか映らないのだろう。
「それは無理です。わたしは今では……麗様に飼って頂くことしか考えられない、あさましい土佐犬です」
俺は放出した後も勃起したままの男根を左右に大きく振りたてた。
「それは困りましたな」
「この檻の中で麗様に飼って頂いてるだけで、嬉しくてたまらないんです」
「そうですか。では……麗様にそのようにお伝えしておきましょう」
呆れ果てたと言わんばかりの表情で老執事が俺の頭を撫でてくれた。


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