レナ-3
≪なんだか嫌な人≫
「自ら破滅するだけの選択肢なんか、数に入れません」アッチは平然としています。
「でも、この子の権利よ、アレを持ってるんだからいい教祖になれるわ。男や女にかしずかれて、なぐさめてもらえばいいのよ」
「ごめんなさいね、この人はちょっと気が立っているだけなのです、気にしないで」
「アタラナータ、やめて」
銀色のは本当に怒っているようでした。おかげでアッチの名前がわかりました。
「仕事って何をするの」
「魔の頭を吹き飛ばすのです」
「あたしに、できるの」
「わかりません。その素質は見せてくれました。今も体の異変に取り乱しませんでした。
でも、正直言って、体に魔を持っているあなたが、今後どうなるのかがわかりません」
「魔にやられたことを馬鹿にするの?」 今のナミは殺気立っています。
ころころ気持ちの変わる、わけのわからない人でした。
「知っているでしょう」アッチは恐れもしないで言い返します。
それからこっちを向いて、 「ああ、あなたが悪いのじゃありませんよ。あなたが心配なだけなのですよ。この人もそれを乗り越えるのがいかに大変か知っているのです」
ナミは黙ります。
「お茶を入れて来ましょう。じっくり考えなさい」アッチが出て行きました。
≪二人にいしないで‥≫ むなしい願いでした。怖い顔とじっと見合っています。
「それなら、警察署では何て言えばいいのかな」耐えきれなくなって話しかけてみました。
「何て言う」
「そのまま言うしかない。だって本当のことだもん。そこにいなかったあたしが知るわけない」
「洗いざらい言ってもいいけど、その股にあるものをどう説明するのか楽しみね」
「どう言えばいいの」
「さあね、いっそみんなに見てもらって聞けば」
「そんなこと、そうだ、あたしを見てくれたお医者さんに‥」
「ああ、あの人は医師としての免許は持ってないわ、どっちかというと、そういった変なやつの取り扱いが専門のじいさんよ」
「じゃあ、どうすればいいの。意地悪しないで教えて」
「教えてやってるでしょ」にらみつけてきます。 「あなたはいつか一人になる時がくる。それでも魔はそこに入っているのよ。 悪魔教信者だけじゃない。
一般人は魔なんて知らないから、あなたはいい研究対象になる。
それから、我々の中にも、あなたを魔の一部と見る者が出て来る。
魔の秘密が広がらないように襲われ、子宮をえぐり取られるかもしれない。その時あなたはどうするの」
「わからない」
「甘ったれるんじゃない。私は言ったわ。そんなもの切り取ってしまえってね」
大声にアッチが顔を出しました。
「文句があるなら、私は手を引くわ」アッチに向かいます。
「いいえ、文句なんかありませんよ。ただ、あなたの時より六つも若いのをわかっているかと思っただけです」