セックスに溺れる人たち-1
この会議室というかサロン風の部屋の中で、会員相互の自己紹介をしたときから
雰囲気が妖しくなってきていた。
それは鷹森庸三という男性からの提案だった。
彼の提案とは、会員同士での性的関係をもってこそ
会のシンボルでもある「エロス」が本物になるという提案だった。
思いのほか、それに今のところ反対する者はいない。
その提案に、当の会長である綾川雅美は悩んでいた。
自分としては、自分の性体験を短歌と言う媒体を通して
表明したいと言う思いだったが、鷹森庸三という人の提案はそれを飛び越えていた。
それは会員相互、具体的には男性と女性との性的関係を構築することだった。
もし、自分以外の人が賛成すれば、彼の提案を拒否する理由がない。
鷹森庸三の提案に賛成している人は、当人の鷹森庸三、主婦であり、
雅美の友人である蒼山美鈴、元ルポライターの柳丸隆之介、そして
やはり主婦の京塚桃子の4人であり、
自分を除けば、後5人の意見を聞かなければならなぃ。
その結果で、鷹森の提案を受け入れるかどうかを決めようと思った。
「では、殿川さん、殿川さんはどういうお考えですか?」
「はい、私も皆さんのお話を聞いていて正直に言って驚きました。
だって、ここで初めてお会いした方ばかりなのにセックスが可能なのでしょうか。
私はそれが心配です、この歳ですし、勃起するかどうかと思いましたが、
ここの女性達は皆さん、素敵な方ばかりですので大丈夫でしょう」
殿川がそう言うと、綾川雅美が言った。
「あの、殿川さん、それは女性でも同じことが言えます、
セックスをする場合、女性は男性からの優しい愛撫無しでは濡れてきません。
殿川さんが、女性にそのようにしてくだされば、女性も濡れてきますよ。
そうなれば、大丈夫だと私は思いますよ」
それを聞いて、殿川は安心したが雅美を見つめながら言った。
「分かりました、そういうことですよね、ではその時にですが、
雅美さんは、私ともしてくれるのですか?」
男性達は、自分も雅美とできればセックスをしたいと思っているので、
それが気になっていた。
男性達の熱い視線を感じながら雅美は言う。
「はい、そうなった場合には当然です。
わたしでなくても女性達はどの男性会員ともセックスをして頂きたいとおもいます。
会員であれば当然でしょう。
初めは慣れないでしょうが、そのうちに慣れてくると思います。
それに、わたしは殿川さんとも当然いたします」
初めの頃、雅美は殿川の言葉が本心だとは思えなかった、しかしそれが本心だと思うと
もう自分としては引けなくなっていた。
この場が「短歌の会」でありながら、会員達の「セックス交流」の場になるなど
会員達も思ってもみなかった。
雅美が殿川を見たとき、彼は雅美の言葉が嬉しそうだった。
彼は美しい雅美を抱けると思うと、急にペニスが勃起していた。