冬のたそがれ-3
おばさんは、私に熱い流れを注いだ。
○
それからしばらくして、ママが車に戻ってきた。
「てまり、隣においで。」ママが運転席についた。どうやら男のひとは、別に帰るようだ。
私はママの隣に座って、腕にしがみついた。
「ダメよ……運転するんだから。帰ってから抱っこしてあげるね。」
暗かった車のまわりが、街へ戻るとどっちを向いてもイルミネーションが輝いている。
さっきオマタに、おばさんのキュウリをつっこまれたときのことを思い出して、カラダがくすぐったくなった。
「車を返したら、」ママが言った。「軽く、何か食べて帰ろうよ。」
「うん!」私は喜んで返事した。ふとおばさんの言ったことが心をよぎった。(ママ、『稼いだ』んだな……)
私はポーチをそっと握った。ポーチの中には、ラジオといっしょに、あのおばさんが別れまぎわに手渡してくれた、お札が何枚かはいっている……
(私、『稼げる女』になったのかなぁ……)
【おしまい】