レナ・ホリデー-2
しばらくすると、逃げ出すと思っていたのに、浮かない顔で女の子を連れて戻ってきた。
≪それならそれでいい≫ 店に入ってくると、娘ひとりを、だれもいない厨房に連れていった。ガキは外に追い払う。
「どれを洗えばいいの」見回している。
忠実に皿洗いだと伝えたようだ。
「帰りのバス代がないんだって。名前は?」
「レナ」無邪気に答える。
「じゃあ、こっちにおいで」肩に手を掛けて、厨房の隅に引き寄せてキスをしようとする。
「なにするの、皿洗いじゃないの」
「ああ、それよりも互いに楽しむ方がいいだろ」
「いやだ」レナは彼を呼ぶ。だが、いくら呼んでも来てはくれない。
「来ないよ」部屋の角へ追い詰める。
「どうして」
「あの子からおまえを買ったんだ。だが、ひどいことはしないよ」胸のすきまから中へ手をつっこんでやる。
ブラもはねのけて、まだ硬く、つんととがった胸に触った。
「いや」
よけても、手を入れなおして、もみくちゃにしてやる。
「いやだって」 胸を隠してうずくまった。
「そういう態度ならこっちも考えるぞ」胴に腕を回して立ち上がらせると、股に手を入れる。
娘はかすれた悲鳴を上げて逃げまわった。腰までぬかして、大げさなやつだ。
元々そんな気はなかった。成り行きで、ちょっと遊んで帰すだけのつもりだった。
この後、私には大事な仕事があったのだ、それを危険にさらすわけにはいかない。
「そんなにいやか。 おまえひょっとして初めてなのか。正直に言えばゆるしてやるぞ。どっちだ」
「本当にやめてくれるの」
「初めてか」
小さくうなずく。
「うそをつくなよ」にらみつけてから、「それなら、もうしないよ」やさしく言ってやる。
私は思いなおした。≪これは濡れ手に粟の大幸運かもしれない≫
娘の手を取って、立たせ、「悪かったね。あの少年が、金をやれば何でもする子だと言ったんだよ。その言葉を信じた私がばかだった」
「まさか」
「あんな子とは一緒にいない方がいい。 そうだ、お詫びに家まで送ってあげよう」
「あいつも一緒に?」
「それはやめた方がいい、よければ君の家の前まででも行ってあげるから」
「そう?」まだ迷っている。
「少しだけ待って、店を閉めるからね。心配しないで。君に何かあったら、私のこの店までつぶれてしまうだろ。人気商売なんだから、そんなことはしないよ」
急いだ。レジの金をポケットに突っ込んで、あとはほったらかしだ。どうせここへはもう戻ってこない。
「我が神よ。あなたさまのために、どうかもうしばらくの幸運をお授けください」
店のユニホームを脱いで車に乗る。
「乗んなさい。どこまで行くんだい」目立たないし、警戒されないように、優しい感じのファミリーカーを借りてある。
「ありがとう」
少年に見られないように車を出した。