『サヨナラの代わりに』-2
『あっ……あっ……ああーん……』
ツンと隆起した乳首の廻りで、美穂の黒髪の毛先が不規則に揺れていた……
『あうっ……あああん……イイっ……イイっ……』
肉襞で必死に僕の男性自身を締め付けようとする美穂……小刻みに尻を左右に振っている……美穂が尻を動かす度に……僕の男性自身と美穂の肉襞が、ゴリッゴリッと擦り合わされる……
互いの体を知り尽くした……濃厚な僕と美穂の営み……
「うううっ……」
『ああん……ぁああっ……そこッ……ああっ……』
美穂と僕の人生が交差した時……僕には既に妻子があった……妻に不満は無かったが……僕は美穂の若さと純粋さ惹かれ……美穂は僕を年の離れた兄の様に慕ってくれる様になっていた……
美穂の入社から二年程経った、ある日の部署の打ち上げで……美穂が酩酊状態になり部屋まで送り届けた晩に、僕と美穂は上司と部下の関係から男と女の関係に堕ちていた……
あの日から六年……僕の三十路は終焉を迎え、美穂も28歳になった……美穂と同期の女子社員達も次々と寿退社をしていっている……
この六年間……美穂は僕以外の男性と関係を持っていない……恋人達が楽しく過ごす週末を、美穂はこの部屋で一人寂しく過ごし……週に一度、僕はこの部屋で美穂を抱く……
映画やドライブ・遊園地でのデートはおろか、最近では外食にさえ連れていってあげていない……
別に美穂が嫌いになったわけではない……むしろ、日に日に美穂の存在は僕の中で大きなものになっているのに……
これが、不倫関係の現実なのだろうか……何一つ文句も言わない美穂を見ていると……
このまま、美穂の人生で一番輝かしいこの時期を……僕の様な人間が浪費してしまって良いのだろうか……自問自答を繰り返す日々が続いている……
『あああっ……もお、ダメッ……あああん……イッちやいそおっ……』
美穂が絶頂に達しそおな事を甘い声で訴えている……
たとえ声を上げなかったとしても……頂点に上り詰める寸前である事は……肉襞の中の僕の男性自身が感じ取っている……
同じ様に……美穂も僕が限界に近いことを敏感になった肉襞で感じているはずである……
『イコう……イコうっ……一緒にイコっ……あああっ……イクっ……あああああっ……』
美穂が僕をグイグイッと締め上げている……ソーダ色のコンドームの中では僕の肉棒が大きく息をする様に……白濁色の液体を吐き出していた……
全裸のまま腕枕をして、唇を重ね合わせる……いつしか美穂は、スースーと静かに寝息を立てていた……
産まれたままの姿で安堵の表情を浮かべながら、スースーと寝息を立てる美穂……僕は、その白く透き通る様な肌に淡いピンクの毛布を掛け……頬にそっと口付けをした……
几帳面に畳まれたワイシャツに袖を通し、ハンガーに掛けられたスーツに身を包む……