LOOSE-1
恋ってなんだろぅ?
ドキドキしたり、ちょっとした事で不安になったり、切なくなったり、嬉しくなったり…―。こんな風になる事が“恋”とよばれる物なのだろぅか?
『はぁっ…んっ…やぁっ!』
「まい…気持ち…い…ぃ?」
『んっ…すごぃっ…いぃのぉ…っ』
パンパンとリズミカルな音と共に二人の息遣いがワンルームの狭い部屋に響く。
その合間を縫うかのように軋むベットの音。
ギシッ…ギシッ…
「まぃ…?俺いきそぅ…いっていい?」
『…ん…あっ…いい…よっ…』
そう言った途端男はラストスパートをかけてきた。
パンパンパンッ…
一層激しくなる肉のぶつかる音、息遣い、ベットの軋む音…
「…んっ…イク…!」
呻くよぅな声を出した後すぐに私の中で熱いものが広がった。
私、一色菜々子。もうすぐ二十二歳なろうとしている学生。どこにでもいる普通の女の子だ。隣でたばこをおいしそうに吸っている男―さっきまで私とつながっていた男―は崎山悠。私より二つ上の二十四歳。
私たちはいわゆるセフレだ。飲み会で知り合って…いつの間にかこんな関係になっていた。
悠とそんな関係になって1年を過ぎようとしている。
私達の関係はあくまでもドライだ。お互いの生活を必要以上に干渉しない。会いたいときに会ってヤりたいときにヤる―。
菜々子も悠もこの関係に満足していた。
恋だの愛だの…そうゆうのには必ず面倒くさい事がつきまとう。菜々子はそれが嫌いだった。そんな菜々子と悠も同じ考えの持ち主なのだ。
…結果、こうゆう関係が1年も続いている。
菜々子はふと時計に目をやった。デジタル式の時計はちょうど“9:00”に変わった所だった。窓の外では太陽が昇り始め、カーテンの隙間から朝陽が差し込んでいた。
「今日の予定は?」
悠がタバコを揉み消しながら聞いてきた。悠が菜々子にこんな事を聞くのは珍しい事だった。
『…特に決めてないけど…どうしたの?』
「何となく。何?聞いちゃいけないの?」
悠が怒った様な口調でチラリと菜々子を見た。
『誰もそんな事言ってないでしょ。ただ悠がそんな事聞くの珍しいなって思っただけ。』
そういって菜々子はベットの下に散らばった衣類を集めて身につけた。
「珍しいかな…そだよなぁ…そぅいやぁ聞いた事ねぇよなぁ…」
悠はぶつぶつ言いながらベットに再びもぐりこんだ。
悠は昨日、明け方近くまで仕事をしていたあげく朝から私とヤッたためにあまり寝ていない。
しばらくするとベットから規則正しい寝息が聞こえてきた。
菜々子は軽く身支度を整えてからそっと悠の部屋を後にした。
「いつまでそんな関係続けるの?」
そういってカフェオレを一口飲んで菜々子の目をのぞきこむ彼女の名前は飯田雪乃。菜々子の親友とも言える友達だ。
悠の家を出てから雪乃に連絡して落ち合ったのだ。
『そんなのわかんない。』
「悠君とそんなんなってどれ位経つっけ?」
『1年…かな。』
「はぁ〜もぅそんな経つのか。てゆぅかさ、付き合ったりしないの?菜々子は悠君の事好きじゃないの?」
テーブルに身を乗り出して雪乃がそうやって菜々子に問い出すのは今日が初めてではない。
『いっつも言ってるけど嫌いじゃないよ。好きだけどね、付き合うとかそうゆうのとは違うの。めんどくさいってゆうか…今の状況が私にも悠にも1番楽なんだよね。』
「はぁ〜…。」
菜々子のいつもの答に呆れたように雪乃はため息をついた。