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ヤクトリの女
【熟女/人妻 官能小説】

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強制捜査-6

従業員スペースの方から、

「パソコンと例のメモ帳が有りません!」

と連中の一人が大きな声で誰かに伝えていた。簡単なソファのバリケードをしたドアを開いた様だ。三人が裏口にたどり着き、先頭のイチが裏口のドアを開け外に出てドアを開けたままにしながら、

「早く!」

と銀三と真理子に叫んだ時、大きな物音をさせ大柄な男が裏口への通路に姿を見せた。ソファなど物ともせず、跳ね飛ばして来たのだろう。その男の手には拳銃らしき物が見えた。真理子は思わず、

「城田!」

と声を出す、そして拳銃を構える。その時、

「パン!」
「パン!」
「パン!」

と5、6発の銃声が響く。城田は仁王立ちのまま拳銃を連射したのだ。銀三はとっさに床に伏せ真理子を見ると真理子は右の肩口を抑え呻いていた。何とか真理子は、床に落としてしまった拳銃を左手で拾う。銀三は素早く真理子を抱えて裏口のドアを転がる様に出る。慌ててイチがドアを閉める。

二人が裏口に尻もちをつく様に座っていると足音が聞こえたと思ったら裏口のドアが大きな音を立て開き大柄な金髪の欧米系の男が顔を怒りで真っ赤にして立っていた。

「パソコンとメモ帳を返せ!」
「そうすれば殺さず、見逃してやる!」

と怒鳴る。そしてパソコンを抱えているイチに拳銃を向けると真理子が、

「城田ね?」

と聞くとその男は不敵に笑い頷く。続けて真理子は、

「そのメモ帳とやらは、私が持っているわ!」
「渡すつもりは無い!」
「もうすぐ応援が来る、抵抗をやめなさい!」

と城田を見つめる。城田は冷酷な表情になり真理子に拳銃を向ける。真理子は外に転がった時に拳銃を離してしまい足元に転がっていた。

その時銀三が、跳ね起きで一瞬で立つと城田の拳銃を持った腕に掴み掛かる。少ない動きで素早く跳ね起きをしたので城田は虚をつかれるが左拳で銀三を殴り付ける。銀三は怯まず城田の拳銃を持った腕を離さずに噛み付く。城田が顔を歪め、

「痛ぇ!」

と声を上げると拳銃を離す。だが、

「クソ!」
「このオヤジ!」

と怒鳴り、その噛まれた右腕を力任せに振り回して銀三を地面に転がす。拳銃を拾うと銀三に向け引き金を引こうとした時、

「パン!」

と銃声がして城田は再び拳銃を落とす。真理子が拳銃を構え発砲したのだった。右腕を撃たれたのだろう、血が指先から滴り落ちる右手で拳銃を拾おうとする城田に、

「次は胸を撃つ!」
「この距離じゃ、先ず外さないわ!」

と真理子は厳しい声で指摘する。城田は凶悪な顔付きになり、

「試してみようじゃねぇか!」
「俺がアンタを殺す前に、アンタが俺に何発ぶち込めるか?」

と凄みの有る声を出す。その時、

「課長!」

と叫び声がして緒方が他二人の捜査官と共に通りから走って来る。三人共拳銃を城田に向けていた。緒方はこの近くのツープッシュの通販サイトの振込み先の名義貸し人数名を強制捜査と同時刻に検挙していた。

名義貸し人達は全員あっさり容疑を認め、緒方は捜査課に報告した時に山田から真理子が新たな拠点を発見したと聞き、最も近くにいると言う事で応援を要請されたのだ。城田と真理子達が睨み合っているとサイレンが聞こえて来た。

すぐに黒いバンが通りに見え、瀬戸と防弾盾を持った急襲突撃隊の複数の隊員達が路地裏を走って来る。やはり、山田から真理子の新たな拠点発見の報告を聞き、半グレメンバー達の来訪を予測して急きょ駆けつけたのだ。

そんな多勢に無勢の状況にも城田の不遜な態度は変わらず、屈んで拳銃を拾おうとした時、

「城田、やめろ。」
「入り口も囲まれている。」

と落ち着いた冷静な声がして、175cm位の痩せ型で切れ長の目を持つ柔和な男が裏口から現れた。神木だ、年の頃も城田とそうは変わらない様に見える。城田は振りむかず真理子達を睨んだまま、

「俺達が盾になります!」
「逃げて下さい!」

と神木に話す。神木は、

「ここまでだ、城田。」
「お前を殺させる訳にはいかない。」

と城田の横にゆっくりと歩を進め、真理子達を見ながら話す。
城田は唇を血が滲む位に噛みながら頷き、

「分かりました…」

と話すと拳銃を拾うのをやめ体を起こした。


入り口付近に陣取ったのは山川で急襲突撃隊を伴っていた。瀬戸と同じく新たな拠点への半グレメンバーの来訪を予期して応援に駆け付けたのだ。店舗内の半グレメンバー達も抵抗する事無く逮捕された。どうやら、神木の指示が有った様だ。

待機組の山田達も駆けつけ、護送車両も到着し神木や城田、他の半グレメンバー達を支部の拘置所へ送っていく。真理子の指示でイチがノートパソコンを緒方に渡す。緒方は直ちに他の捜査官達とパソコンの解析に当たる。

銀三は顔をイチから借りたハンカチで押さえていた。殴られ鼻血が出たのだ、イチといつの間にか吉爺もいて二人して銀三を心配そうに見ている。真理子が、

「私どもの車両に薬箱が有ります。」
「治療しましょう。」

と銀三に話し掛けるも銀三は顔をハンカチで押さえたまま、

「その内、鼻血も止まる。」
「大丈夫だ。」
「アンタの方こそ、右肩大丈夫か?」

と逆に聞いてくる。真理子は右肩を押さえながら、

「防弾ベストの上からだったから打ち身程度で済んだわ。」

と話すと銀三は安心した表情になり頷くと歩き出す。真理子が慌てて、

「ここで起こった事で調書を書くのに貴方達の話しを聞く必要があるわ!」

と話すと銀三は振り返り、

「アンタが全部見てたろ。」
「任せる。」

と言うと通りの方に向かう。イチと吉爺も銀三と並んで歩いて行く。


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