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ヤクトリの女
【熟女/人妻 官能小説】

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強制捜査-7

真理子が溜息を付いていると、

「課長!」
「撃たれたと聞きましたが!」

と瀬戸が右肩を押さえている真理子を気遣う。緒方達に聞いたのだろう。真理子は苦笑いして、

「防弾ベストの上を掠った位だわ、平気よ。」
「数日は痛むかもね。」

と答える。瀬戸は安堵した表情になり、

「今回の強制捜査の一番の負傷者かも知れないです。」

と言うと真理子は顔をしかめた。瀬戸はイチ達の方を向き、

「あの人達は?」

と怪訝な様子で聞いてくる。真理子は苦笑して、

「情報提供者とその連れね。」
「余計な事に首を突っ込みたがるけど。」
「お陰で私は命拾いしたわ。」

と答える。瀬戸は笑顔で応じ、すぐに真顔になると、

「この拠点で神木と城田も拘束出来ましたし、全ての拠点での予定した全員の拘束が出来ました。」
「捜査官、数名が軽傷を負いましたが大事ありません!」

と報告する。真理子は瀬戸を笑顔で見て、

「上手く行ったわね。」
「ご苦労様。」

と労いの言葉を掛ける。二人に山川が合流して今後の事について話し合いながら支部に戻るべく捜査車両に向かった。



 銀三は起床して顔を洗うと鏡で隈になった目元のアザを確認する。殴られてから数日経つが、中々消えない。でもだいぶ薄くなった様に感じた。銀三は、

(イチがコンビニで氷買って来てくれてすぐに冷やしたのが良かったのかな?)

と思っていた。あの日も仕事は休まずに行ったがみんなから喧嘩か、いい歳なんだからと散々言われた。

(好き放題言いやがって!)
(心配してくれたのは、久枝ばぁさんだけだったぜ。)

と心の中で毒付くとスマホに着信が入る。イチからだった。

「イチ、毎日に来なくて良いよ!」
「俺は病人じゃねぇ。」

と銀三は電話に出るなり言うとイチは、

「もうすぐ、着くよ。」
「スタミナ弁当と豚汁買ったよ、好きだよね?」
「俺の分も買ったから一緒に食べよう。」

と早口でそう言うと電話を切った。銀三は苦笑してスマホを置く。あの元ガールズバーの店舗での出来事の有った日は、ずっと銀三が仕事に行くまで付きっきりで世話を焼いてくれた。食事から部屋の掃除まで。

銀三が殴られたのはお前のせいじゃ無い、あそこに行ったのは後悔してないし、行って良かったと思っている。とイチに伝えても、次の日から銀三の起床時間を見計らって食事を持って訪ねて来るのだ。イチは自営業的な仕事なので時間の自由がきくのだ。

(自分がリュウの事を頼んだせいで殴られたと思ってるんだろうな?)
(真理子が心配で行ったと言っても聞かないし。)
(イチは義理固いヤツだぜ。)

と銀三が思っていると、またスマホの着信が鳴る。

(やれやれ、またイチだろう?)

と思ってスマホを見ると真理子からだった。銀三は何だろうと思いながら電話に出た。こんな午前の時間帯に、強制捜査とやらも終わったのに。


真理子は、最初に銀三と待ち合わせしたホームの同じ場所にいた。ベンチに座って銀三を待っている、予定より早く着いてしまった。銀三に数日前に電話して会おうとなったが、忙しくようやく時間を作って今日になったのだ。

話が終わったら、すぐに支部に戻らなければならない。ここ一週間位は大勢いる被疑者達の取り調べや追加調査などで、応援が必要な程捜査課は忙しい。だが部下達は捜査が上手くいった為か連日の深夜に及ぶ勤務にも精力的に仕事をしていた。

当然、捜査課の責任者たる課長の真理子も最終的な膨大な決済書類の確認に追われ相変わらずの午前様だ。上層部の度重なる途中報告に辟易しながらも、いつもと関心の熱量の半端無さに驚く真理子だった。それが何故かは予想が付いたが。

「よっ、早いな。」

と突然、声を掛けられ振り向くと銀三がいつの間にか近くに立っていた。銀三は紙袋を差し出して、

「電話で話した物だ、全部有る。」

と言う。真理子は立ち上がり、その紙袋を受け取る。そして思い出した様に銀三に頭を深々と下げ、

「一般人の銀三さん達に拠点の疑いの有る建物への同行を許したのは、私のミスでした。」
「その為に銀三さん達を命の危険に晒した、謝罪します。」
「でも銀三さんに命を救われたのも事実です。」
「銀三さんがいなかったら、私はここにいません。」
「ありがとうございました。」

と礼を述べる。銀三は照れ臭そうに手を振り、

「俺が行きたかったから、あの店に入ったのさ。」
「イチ達は俺も予想外だったが、成り行きだな。」
「謝る事無ぇ、むしろ俺はあそこにいて良かったと思うぜ。」
「アンタの役に立ったならな。」

と恥ずかしそうに答える。真理子は顔を上げ、

「殴られた所は、大丈夫ですか?」
「アザになってるわ。」

と心配して聞くと銀三は、

「大丈夫だ、もうだいぶ良くなった。」
「それより袋、確認しなよ。」

と話題を変える様に話す。真理子は中身を改めると小型スプレーが5個入っていた。銀三が、

「あれから、アンタの話をこのスプレー缶を持ってる連中にした。」
「全員、それを渡す事に賛成したよ。」

と言う。スプレー缶の中身は薄められたツープッシュだ。銀三が電車と管理人室で真理子に使った物と同じ物だ。真理子は真顔になり、

「薄めて小分けした物ね。」
「薄めてから、誰かに使ったの?」

と聞く。


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