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女らしく
【コメディ 恋愛小説】

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女らしく【10】『水着と浜辺と海水浴』-1

夏だ!
浜辺だ!
海水浴だ!

「いやだあああああ!!!」

海辺に佇む旅館に響く、オレの声。

「マコト観念なさい」
「そうですよマコトさん!絶好の海水浴日よりじゃないですか♪」

眼下に広がるのは雄大な青い海とその上を滑る白い波…

最悪だ…

何故オレが来たくもない海に来ているのかと言うと、昨日…つい左手が完治したことを撫子さんの前でバラしてしまったから……

そのため、1泊2日の小旅行に拉致られて、強制参加させられている。

拉致られてという描写は冗談ではない…

…今日の朝、ミリィから渡された水を飲んだ途端、とてつもない睡魔に襲われたのだ!

で、気付いたらこんな所に……

しかもご丁寧にオレの着替えやら何やらは全て用意されていた…

「お姉様♪早く着替えて泳ぎましょうよ♪♪♪」

嫌だ!!オレはぜえっっったいに水着なんか着ねえ!!

「諦めなさい。それよりも水着で大和を誘惑したらどうですの?」

蠱惑的な一言…
鉄よりも、コンクリートよりも、ダイヤモンドよりも強固なはずの決意に亀裂が入る…

「そうですよぉ♪チャンスですよマコトさん!」

………やっぱり嫌だ!!は、恥ずかしい過ぎるよ…
第一、オレは水着なんか持ってない!

「マコトちゃん、心配ご無用♪私がちゃ〜〜んと用意してあるから!」

太陽の如くサンサンと輝く笑顔。黒いビキニを着た撫子さんが詰め寄る。自分の鞄を開き、一気に中身をぶちまける。
辺り一面に広がる水着…水着…水着……

「やぁだぁ…」
「逃がしません♪」

スカートの様なものがついた緑の水着を身に纏ったミリィが羽交締めにしてくる。

「お姉様、これなんか如何です♪」

詩乃の手にあるのは、全体の95%くらいが紐の水着。
残りの5%は布だが…極端に面積が小さい。

「そんなもん着るくらいなら腹を切る!」
「じゃあ…自分で決めなさい。でないと本当にそれにしますわよ♪」

奏の残忍な笑顔…
くそぅ…親友だと思ってたのにぃ〜!

「そういう奏だって…」
「ワタクシは日光に弱いんですの。それくらい重々承知でしょ?ワタクシの大親友♪」

黒い人形の様な服を着て、黒い傘を持った奏が同じく黒い笑みを零す。


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