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ヤクトリの女
【熟女/人妻 官能小説】

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銀三-3

イチが意外そうに、

「使ってみるの?」
「ヤクトリが張ってるんでしょ?」

と聞く。銀三は、みんなを見回し

「ヤクトリに捕まりたくねえな。」
「だが試してみてえな。」
「お前らは、どうだ?」

と逆に聞くとイチが生唾を飲み込みゆっくりと頷く。他の連中も続いて頷く。銀三は笑い、

「お前ら、根っからの痴漢だな。」
「じゃあ、それ薄めようか。」
「聞いた話しじゃ、4、5倍に薄めた方が良いらしい。」

と言うとイチが勢い込んで、

「ここに全員で5人居るから5本分作ろう。」

と言うなり席を立ち、

「近くの百均でスプレー缶買って来るよ。」

と歩いて行こうとする。銀三は、

「俺も貰えるのかい。」

と話し掛けるとイチは笑い、

「当然だよ。」

と答えた。イチは、ツープッシュ入りのスプレー缶と同じタイプで同じサイズのスプレー缶を4本買って来た。全てのスプレー缶のフタを開けると度々周りの様子を伺いながら喫茶店のストローで5等分にした。

そしてお冷の水をストローでスプレー缶に入れていった。スプレー缶が満杯になり、4、5倍に薄められた。イチは、慎重にフタを締めてみんなに手渡した。銀三はみんなを見回し、

「この前、二つの路線に行ったのは何人だ?」
「ツープッシュを使った時、一緒に居たやつは?」

と聞くとイチは思い出す様に斜め方向を見ていたが、銀三以外の仲間を見て

「ここに居る四人だけだよ、銀さん。」

と答える。銀三は軽く頷き、

「今日は、これは使わないでおこう。」
「この事は、知らないヤツが少ない方が良い。」

と言うと全員頷く。銀三は、

「他のヤツらと乗車する時に使っても良いが自己責任だぞ。」
「俺は、勧めないが禁止もしない。」

と淡々と話す。みんな頷く。イチが真顔で、

「銀さん、この5人以外の時は使わないよ。」

と言うと他の3人がやはり真剣な顔で頷く。銀三達は、暫くして駅のコインロッカーの所に戻った。新たに3人が来ていた。

銀三は、新入りと後から来た連中に、二つの路線に警察が張っている事を伝え、その路線には行かない様に忠告した。だが、ツープッシュの事は話さなかった。



 真理子は、会議で囮捜査からの成果を聞かれたがツープッシュ摘発に至る結果は出ていないと正直に答えた。他のルート、繁華街や反社関係にも囮捜査終わりの捜査官達に無理を言い、探らせていたが流れている形跡は無かった。

上層部の一人から被害者は数人だし、通常の業務に戻った方が良いのでは無いかとの提案が有る。真理子も、それについて考えていたがもう少し時間を下さいと訴えた。

新たな薬物を抑えるのは、最初が肝心だと分かっていたしやり始めた捜査だ、結果を出したかったのだ。真理子の熱意に負け、上司達は囮捜査の継続を認めた。


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