囮捜査-3
銀三は、その事を確かめる為にも今日はこの路線を選んだのだった。
(話に聞いていた通りだ。)
(サツは、張っていた。)
(だが、いつもの鉄道公安のヤツらとは違う。)
銀三は一人頷いた。何とは無しに囮捜査を観察していると警察官と思われる男達が耳元に囁いているのを見逃さなかった。
(インカムだな。)
(犯人が現れて緊急時でも無いのに使うとバレるよ。)
とニヤリとする。そして、急にハッとした。もう一人いると気付いたのだ。アラフォーの女性が耳元を押さえ囁いている様に見えて分かったのだ。
(年齢から言って、この女が上役か?)
(俺好みの美人だ!)
とその女性を見る。ベージュのゆったりとしたブラウスに黒っぽい軽めのジャケット、ゆったり目のチェックのパンツの服装をしている。
(何とか服装で誤魔化そうとしているが、俺には分かる。)
(かなりのデカパイだ!ケツもデカいぞ!)
と銀三は、目を奪われていた。するとその女性が見られているのに気付いたかの様に銀三を見返す。銀三は、慌てて視線を外した。
(流石にサツの女にイクのはヤバイ!)
と思っていると電車が駅に停車した、おもむろに銀三は降りた。銀三は、確かめたい事が出来た。
真理子は、自分を見つめていた50、60代の男が下車するのを見ていた。真理子より5cm位は背が高いが男にしては小柄で痩せ型の体型だ。
髪は短く、スポーツ刈りよりは長い程度。真理子は職業柄、相手の容貌を自然と観察する癖が付いていた。
(知り合い?)
(事件関係者かしら。)
(見覚えは無いけど。)
と首を傾げた。時計を見て終電までまだ時間はたっぷり有る。今日も長い1日に成りそうだった。