HeartFull・Love~4th・Chapter~-3
「ひゃ〜、恐いねー♪」
ひんやりした空気。ばさばさと揺れる木々。墓場には持ってこいのムード。いやぁ、恐いよコレ。これはチャンス!!
「…離れないように…手ぇ繋ご…。」
「恥ずかしがらないでよ暁♪ハイ!」
里紗はギュッと俺の手を握る。あぁ、暖かい。幸福っていいね!!
「ちょっと暁?顔真っ赤だよ。大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。」
「落ち着きもないし。」
「そうか?」
「うんうん。」
二人で順調に道を歩く。
こういうところで二人っきりって初めてだな…。なんか緊張するな。
「なんか寒いけど…怖くはないね。」
「そ、そうだな。」
トクン…。
隣の里紗が喋る度に心臓が跳ねる。
「どうしたの暁?」
「ん、大丈夫だよ。」
「嘘だ。」
頬を膨らませ、怒ったように言う里紗。
さっきから言うが、心臓バクバク。
「さ、さっさとカード取ろう!!」
「今日の暁はおかしいよ…。」
悲しげな表情でうっすら目に涙を浮かべている里紗。
「えと、あの…、みんなの前で仲良くするのは慣れたんだけど、誰もいない中二人っきりの状況にはまだ…。」
「…ホントに?」
里紗が握る手をさらに強くする。
「里紗に嘘はつかないよ。」
絶対に嘘はつかない。これが俺の信条。
「良かった…。こんな些細なことでも女の子は心配するんだから…ッ」
ぽふっ…と俺の胸に倒れ込む。
「心配させてゴメンな。ちょっと緊張しちゃってさ。」
そう言いながら、里紗の髪をサラサラと撫でる。里紗はまだ無言で抱きついている。
時に男みたいに活発で、俺の為に料理を作ってくれて、そしてこんな俺を好きになってくれたことに感謝の念を込め、優しく抱きしめる。
-----出来れば、こんな時間が永遠に続けば良いのに。と、月明かりが照らす薄暗い闇の中、俺は思った。