happiness a place-1
真夏の午後昼下がり。
授業をサボって俺達は偶然近くで見つけた野原にゴロンと寝転ぶ。
「気持ちいいねぇ〜。」
「あぁ、そうだな。」
二つ並んだ大の字が見る先は、一面の青空。青いキャンパスに、いくつかの白い塊。
緑一面の芝生はとても心地良くて、学校や家でのストレスが全て吹き飛んでいく。
目を閉じて耳を澄ますと、吹き抜ける風の音と、風に揺れて擦れあう葉の音が聞こえた。
ふと横に居る俺の彼女に目をやると、すぅすぅと寝息を立てていた。
幸せそうな寝顔。鮮やかで艶やかな黒髪。
「…この公式が分かりません先生ぃぃ……うぁぁ…。」
俺は彼女を起こさないように必死で笑いを堪えた。
どうやら彼女は悪夢を見ているらしい。
眉間にシワを寄せて、なんとか公式から逃げようとしている。
「…あぁぁ!」
不意に大声で叫ぶ彼女。
「わ…分かった…!」
どうやら夢の世界で公式に勝利したようだ。
再びすぅすぅと寝息をたて始め、静かになった。
…俺も寝るか。
俺は静かに目を閉じた。
「…い、おーい、起きなぁ〜?」
「ん…あぁ…。」
空一面に広がっていた青空はすっかり変わり、一面の夕焼けが広がり、オレンジ色の光がとても鮮やかだった。