覚醒、欲しがる未亡人 本間佳織G-3
「だって僕、本間さん好きなんだもん。どうせ僕の気持ちが届かないならエッチなこと、楽しみたい」
ちゅ……とついばむように、佳織の唇にキスをする。
「隼人にヤられて、そのあとに僕にもヤられるってどんな気持ち?」
「知らない、先輩をからかうんじゃありません」
ニヤニヤと笑いながら、理央は佳織の右の耳元に唇を寄せる。
「僕、多分隼人より優しくないよ。わかってると思うけど」
耳元で囁かれる声は、隼人のものと違って優しいのに、その内容はひどく加虐的だ。
以前、恋人の存在を明かした時に冷徹な目をしながらギリギリまで焦らされ続けた時のことを思い返す。
そのせいで、佳織の目には焦りの色が浮かんだのだろう。
理央はそのことに気づき、まるで女の子のように可愛く笑みを浮かべる。
「本間さん、可愛い。僕のこと、怖いんでしょう」
ぞくぞくっと佳織は身震いをした。
佳織が怖がっている姿を見て「可愛い」というその言葉に、だ。
理央が佳織に嫌われたくない、と言っている意味が何となくわかったような気がした。
おそらく彼は、自身の加虐的な性質をわかっているのだ。
しかもそれは、叩いたり、噛んだりという肉体的なものであるというより、精神的なものーー
ギリギリまで焦らし、追い込み、ひどく冷徹なことをしていても、女の子のような笑顔でその姿を可愛いと言えば、女は彼を欲しがるーー飴と鞭の使い分けが上手いのだろう。
「僕、本間さんが大好きだよ。本間さんは?」
「好きよ……じゃないと、家になんか入れるわけないし、息子も紹介しない」
「ふーん?僕、そんな安心安全な男じゃないけど」
「ぁっ……うっ」
ちゅ、ちゅ…と耳たぶに、急にキスが落とされる。
「隼人に強引にされて、きっと感度上がってるでしょう?」
「やな後輩っ……そんな言い方しないで……」
「あんな強引にオマ×コ、ばちんばちん突かれてたくせにイッてたの本間さんでしょ?」
「ん、ぅ…」
佳織の怒りが呻きとして漏れつつ、理央の首に手を回す。
「寝室に行きましょう?佐藤くんとは、ゆっくりしたいよ。岳は……今日泊まるらしいから」
理央の顔が、かぁあっと熱くなる。
どれだけ責めても、佳織は理央の欲しい言葉をくれるからだ。
「本間さん、そんなこと言って……僕らが変な気持ちになるのわかって言ってるでしょう」
「女が誘ったらダメなの……?」
佳織は体を起こして、理央の唇にキスをする。
「武島くんも、佐藤くんにも……あたしは許しちゃってるんだもん」
佳織は理央の手を引き、自らの寝室へ誘う。
佳織にとっては日常的な自分の寝室だろうが、理央にとってはーー佳織の匂いが詰まった、恐ろしくも官能的な部屋に感じた。
佳織が壁のスイッチで灯りを灯すと、大きなダブルベッドが理央の目に付いた。
ダブルベッドは、おそらく夫と過ごした部屋の名残なのだろう。
だが一方で、夫のものはかなり処分したのか、がらんとした印象を受ける。
入って右手には、ベッドが縦に置かれ、その横にはサイドチェスト。その上には電気スタンドが置かれている。
サイドチェストの横には、床から壁へと突っ張り棒で支えるタイプのウォールラック。