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扉の先に。
【教師 官能小説】

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はじまり。-1


 川又 由里 22歳。 大学4年生になった私は家庭教師のバイトをしていた。元々人に教えるのは好きだし、集団塾のように成績を求めてビシバシ指導する…というのは私には向いてないから、この仕事は私に合ってると思っていた。

「先生。終わりました。」

 隣に座る智樹君が私に声をかける。智樹君は中学2年生の男の子。あまり詳しくないけれど、文芸部に入っているらしく、成績はかなり優秀。ただ、数学が少し苦手らしく、一応今流行りのリケジョ?である私が家庭教師をしている、という状況になっている

「うん、うん…よし。これも正解。一次関数の問題もだいぶ解けるようになってきたね」
「先生に教わるようになってこの辺はだいぶできるようになりました!」
「よし、じゃあ次はここから。またわからなくなったら呼んでね」
 
 彼に指示を出して私はまた勉強する姿を眺める時間に戻る。
 智樹君はかなり優秀だ。元々彼の母親が熱心な教育ママさんで、勉強を習慣付けられていたのだろう。本人も勉強嫌いということもなく、要領が良い。応用力もあるし、こちらが言ったことをすぐ吸収してくれるので、教えていて楽しい。
 正直、家庭教師である私がいる意味があまりないような気もするけれど…私としては楽だし、それなりの給料ももらえて時々お菓子も頂いたりするので、本当に良い仕事だと思う。

「先生、ここが少し分からなくて…」
「そこはさっきの問題の応用だね。この点Pが…」

 中学2年生の智樹君は素直な子だ。私の中での中学2年生男子って意味もなく悪ぶってみたり、とりあえず反抗してみたり、なんてイメージがあったけど、そんな話を智樹君にしたら「先生古いですよー笑」なんて言われて、ちょっとジェネレーションギャップを感じちゃったな。悟り世代?ってやつなのかも。

「そろそろ終わりの時間だね。最後に聞いておきたいことはある?」
「今日は特にないです。ありがとうございました!」

 元気よく返事をする智樹君と、お母さんに挨拶をして、家を出る。

 私にあってるバイトだし、大学を卒業するまではこのまま平穏に続けられたらいいな。なんて思ってた。

 あの日までは。


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