お持ち帰り-3
男性と2人きりになる事に全く慣れていない沙織は何を話していいのか分からず、ついつい部屋を見回してしまう。
「どうしたの?」
「え…、いえ…、1人暮らし、いいなーって思って。」
「そうだねー。いいんだけど、やっぱメシとか洗濯とか掃除が面倒くさくてねー。」
「でもお部屋キレイにしてるじゃないですかー。」
「とりあえずマメに掃除とかはしてるからねー。」
「キレイ好きなんですね♪」
「ハハハ、もっとホコリだらけで洗濯物や食器が溜まってて散らかってると思った??エッチなビデオがそこらに落ちてたり♪」
沙織は少し恥ずかしそうな顔をした。
「それわぁ、分からないですケド…」
「ハハハ、たとえホコリだらけでもそんなビデオだけは片付けるって!」
「アハハ…」
中途ハンパに笑ってしまった沙織。合コンで酔ったせいか少しだけ大胆な事を口にした。
「高梨さん、持ってるんですか…?エッチなビデオ…(わ、私何を聞いてるの!?)」
自分で焦ってしまった。
「ん?ハハハ、あるよ?出さないど!」
「そ、そうなんですね…。」
「まー、男だからね!」
「ンフっ。でも正直に言ってくれた事、嬉しいです。」
「ま、出さないけどね?ハハハ」
緊張する自分を少しずつ安心させてくれる修に心が惹かれて行く。
「でもさー、沙織ちゃんて高校生なのに酒を飲むような子には見えないし、合コンとか来なそうなタイプに見えるし、いきなり男の部屋に上がるような子には見えないんだよねー。沙織ちゃんてどんな子なの?」
実際自分でもそんなタイプではないと思っている。ビールを飲んだのも今日が初めてだ。合コンも初めて、まして男性の部屋に上がるのも初めてだった。その理由を修になら話せるかな、そう思い口を開く。
「私、女子高なんですけど、中学も女子校で、男子とあまり繋がりがなくて、誰ともお付き合いした事がないんです。でも今日来た子はみんな恋愛経験もあって、今も彼氏がいる子もいて、仲間内でする恋愛話に、私全然ついていけなくて…。恋愛経験ゼロって言うのが恥ずかしくて、見栄はって付き合った事はあるとか、キスした事はあるとか嘘ついてて。このままじゃ皆に置いていかれちゃうって焦ってたんです。だから今回、大学生とコンパがあるって誘われた時に、本当は怖かったんですが、ここで断ったらまた置いていかれそうな気がして、本当は怖いくせに、あー、合コンね?行く行く♪、みたいな、いかにも合コンの経験があるように答えちゃって。だから正直合コンに行くまで、すごく憂鬱だったんです。」