ごほうび-1
え。ごほうびって……まさか、キス?
期待に高まる俺の胸と喉が鳴った。喉の音、たぶんしのちゃんにも聞こえている。
「お兄ちゃん、こっち」
しのちゃんが俺の手を引いて、ベッドへ歩いて行く。シーツを交換したばかりのベッドを指さしてしのちゃんが
「はい、ここにごろんしてください」
と、にっこりと笑いながら言う。しのちゃん、なにがしたいんだろう。こないだみたいにあまえんぼうさんしたいんだろうか、でもそれじゃ「ごほうび」とはちょっと違うな。まさか……
言われるがままに仰向けに横たわった俺の隣にしのちゃんも寝転がる。
「お兄ちゃんに、ごほうびしてあげる。たぶんお兄ちゃんも好きだと思う」
そう言ったしのちゃんの左手が、そうっと俺の股間に伸び、グレーのワイドパンツ越しにおちんちんを軽くつかむ。え、ええええ、ちょ、しのちゃんなにやって……
「お兄ちゃん、気持ちいい?」
しのちゃんの左手が俺のおちんちんをゆっくりと揉む。しのちゃんの想定外の行動に動転した俺の身体と表情は固まったままだ。
右手で膝枕をして、俺の股間を眺めるようにして左手でおちんちんを揉むしのちゃんの顔は、いたずらをするときのようなわくわくした表情をしている。
「あ、あのさ……」
やっと声が出た。
「ん?」
俺の胸元のあたりにあるしのちゃんの顔。その目がちょっとだけとろんとしているように見えるのは気のせいだろうか。
「……どうして、知ってるの、その、こういう……」
「えへへー、あのね、学校で男子同士が遊んでいるときに、ときどきこうやって、おちんちんのところさわりっこしてるんだ。さわったほうの子がね、気持ちいいだろーっ、て言ってた。だからたぶん、お兄ちゃんも気持ちいいのかなぁって」
しのちゃんのちいさな手がむにゅ、むにゅと、ワイドパンツの中の俺の勃起していない仮性包茎おちんちんを、幼い手つきで愛撫する。手のひらに押されるようにぐにゅぐにゅする陰茎と、しのちゃんの指先にときどき軽く包まれる陰嚢。まるで童貞が女の子のおっぱいをはじめて揉むときのような、同じ場所を繰り返し愛撫し続ける単調な動き。
学校の男の子たちの行為は、いわゆるふざけっこではあるんだろうけど、おちんちんをさわるととにかく気持ちがよくなる、というのは体感的にもうわかっているんだろう。そうか小2くらいだと、まだ教室内でそういうことを女子の前でやったりするんだな。性、というものがなんとなくわかってきてはいるけれど、それと羞恥心が密接に結びつかない年齢なんだろうか。そういやしのちゃんだって、俺のことエッチとか言ってるくらいで性意識はあるんだけど無邪気さのほうが勝っているところがある。だから今だって……
そんなことを考えていると動揺が徐々に落ち着いてきた。それに合わせて、意識から遠ざかりかけていた下半身の感触が急速に蘇ってくる。
「ふふふ、お兄ちゃんやぁだあ、おちんちん、なんか大きくなってきてる」
いつもよりトーンがちょっと高めの、しのちゃんの声。
8歳の幼女、それも「こいびと」のしのちゃんに、衣類越しとはいえその幼くて小さな手にいじられている俺のおちんちん。俺の右手にしか握られたことのない、童貞喪失のときにはお店のお姉さんには直に触ってもらえなかった―手コキもフェラもなしで挿入だけさせてくれた。やっぱ筆下ろしってめんどくさくて嫌だったんだろうな―、まだ女の子の手を知らない俺の仮性包茎のおちんちん。小学2年生の女児に、ちょっとだけ手荒に揉まれて、ゆっくりと勃起していくおちんちん。
俺の耳に入る音が一瞬すべて消え、脳に向かって血流がぐわあと押し寄せる。胸の鼓動がジューダス・プリーストもここまでじゃないだろうと思うくらいBPMが速くそして重いバスドラを打っている。俺の精神と肉体がやっと連動し自分に起きていること―しのちゃんが、俺のおちんちんを愛撫している―を正確に認識したその瞬間、釜の中で抑圧されていた煩悩が一瞬で沸騰し、激しい水蒸気とともにフタを弾き飛ばした。
「しのちゃん……」
自分でも、声がかすれているのがわかる。
「ん?」
半勃起から更に硬さを増していくおちんちんを愛撫しながら、しのちゃんが俺の顔を見る。かわいい。大好きだよしのちゃん。俺の「こいびと」のしのちゃん。俺にスカートの下のパンツを直に見せてくれたり、俺の勃起したおちんちんを匂いが嗅げるくらい間近で見せつけたりした、8歳のしのちゃん。もう俺、我慢できないよ、こんなことしのちゃんにされて、理性を保ち続けるなんてことは……
「……おちんちん、しのちゃんに、ちゃんと触ってもらいたいな……」