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愛欲の日々 -心と身体-
【熟女/人妻 官能小説】

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聡美(七.)-1

 その日の晩から智司は三十九度を超える高熱を出し、一週間ほど下がることがなかった。
 その原因が雨に濡れたことだけでないことは、聡美にもわかっていた。
 おそらくあの日、裏庭のほうで物音がしたのは、あの場に智司がいて前田との行為の一部始終を見ていたからにちがいない。いつかこうなるかもしれないと思っていたことが実際に起こったのである。
 聡美の胸のうちには深い後悔と羞恥心、そして懺悔の心で満たされていた。一瞬でも家族を捨ててしまおうと考えた自分の心の浅ましさを責め立てた。このまま生き恥をさらして生きてゆくくらいなら死んでしまったほうがましだとすら思ったことさえあった。
 そしてその罪を償うように、聡美は一心不乱に智司の看病をした。薬と水を持ってきたときも、ちょっとした食事を運んできたときも、智司は聡美と顔を合わせることはなく、一言も口をきいてくれなかった。当然の報いだと思った。『汚らわしい』『最低だ』――そんなふうに罵られてもしかたがないと思っていた。聡美は眠っている智司のそばで何度も涙を流し、謝罪の言葉をつぶやいた。
 十日を過ぎた頃、ようやく回復の兆しが見えはじめ、二週間が経つ頃には聡美がつくる食べ物にも口をつけるようになっていた。その頃には少しずつ会話も交わせるようになり、聡美はようやく愁眉を開くことができた。しかし、あの日の出来事について智司が見聞きしたことを直接たずねることはできなかった。智司もそのことについて触れようとしなかった。お互いに忘れられるのなら忘れたほうがいい。――聡美はそう思っていた。
 そして智司の体調もすっかり回復し、再び学校に通えるようになったちょうどその頃、ついに聡美が犯した罪に審判が下る日がやってきた。


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