麻衣ちゃんの乳首-3
俺の、普段はたいして回転が早くないくせにこういうこととなるとジェットエンジン並みに高速回転する脳がなにかを告げる。この好条件、チャンスを逃すわけにはいかない。いかに麻衣ちゃんの襟ぐりを広げさせるか、そしてそれを斜め上から見下ろせる位置を確保するか。
俺の言葉に、麻衣ちゃんはベンチに腰を下ろしたまま、膝を大きく開いてその間を覗き込むような姿勢になった。もしスカート姿だったら、いかにちょっと無防備なところがある麻衣ちゃんでもこの姿勢は取らなかっただろう。でもね麻衣ちゃん、この姿勢だと、斜め上から襟の中が丸見えになって、しかも麻衣ちゃんの視線はベンチの下に集中しているからその丸見えになった内側を覗き放題になるんだよ。
「あ、あったかも……」
麻衣ちゃんのくぐもったような声を聞きながら、俺は麻衣ちゃんの顎とベンチの間に展開された、胸元が重力で下がったブラウスの襟の中で露出してしまった、麻衣ちゃんが絶対に他人―それも彼氏でもなんでもない男―に見られたくない光景を凝視する。
白いブラウスの襟が開いて、麻衣ちゃんの胸部の肌とミントブルーのブラジャーが俺の目線の先に露わになっている。推定79センチの小ぶりなおっぱいを覆うブラが、麻衣ちゃんがベンチの下のフタを取ろうと腕を伸ばすのに連れて乳房からゆっくりと離れて浮いていく。
「もうちょっとで届くのに……んしょ、あれ？」
うまくフタに手が届かないのか、麻衣ちゃんが身体の傾きをぐいっ、と大きくした。ミントブルーのブラが、胸筋に押され両腕に挟まれるようにして、にゅっ、と浮いて完全に乳房から離れる。
（うぉぉ、麻衣ちゃん、見えちゃってるよ……）
ブラが浮いた空間、そこに、ちょこんと突き出すように姿を表した、麻衣ちゃんの乳首。薄茶色で、乳房のサイズの割にはやや大きめで、十分に指先でつまめそうな麻衣ちゃんの左の乳首。琴美情報の今まで彼氏がいたことがないというのが本当でそれを素直に解釈すれば処女の、まだ他人の男に見られたことがないはずの、夏の日差しと白いブラウスによって残酷なまでに明るくさらけ出された、麻衣ちゃんの薄茶色の乳首。
「ん……もうちょっと、かな……」
麻衣ちゃんが腕や指をいっぱいに伸ばしてベンチの下の地面をまさぐる。視線も意識も黒っぽい色のフタに集中しているから、俺はなんの遠慮もなく麻衣ちゃんの乳首チラを覗き込んでいる。なんならここでチャックを下ろして、すでに勃起しているおちんちんを出して麻衣ちゃんの生乳首を見ながらオナニーを始めたってたぶん気づかれないんじゃないか、と思うほど、麻衣ちゃんは俺に無警戒だ。
重力で引っ張られて三角型になっている乳頭の、指で弄ればこりこりとした感触がありそうな乳首。処女と言われれば誰しも納得しそうな、純朴な田舎の女子大生―というかつい半年前まではまだ高校生だった―の麻衣ちゃんの、意外にエッチな形をした硬そうな乳首。身体の動きに合わせて小刻みに揺れる乳房の白い肌とのコントラストが眩しい、薄茶色のツンと尖った乳首。
俺はシャツの胸ポケットからスマホを取り出して静音カメラアプリを起動し、どちらにするか一瞬迷って画像モードのままシャッターを何枚か切った。スマホを麻衣ちゃんの襟ぐりにぐっと近づけてさらにシャッターを切る。
「とれたー、もう、なんでこんな奥に……」
麻衣ちゃんの上半身がゆっくりと起き上がる。俺はスマホを持った右手をさっと引いて身体の右側に隠し、前のめりになっていた身体を戻した。
姿勢をもとに戻して、手のひらにフタを乗せてふうう、と小さく息を吐いた麻衣ちゃんが俺を見て苦笑いする。その表情からは、胸チラ、というか乳首チラを覗かれたとか盗撮されたとかの可能性への猜疑は微塵も感じ取れない。
「よかったね。ここ、こんなふうに突風吹くことが多いから、気をつけたほうがいいよ」
気をつけたほうがいいことは他にもあるけど。
「はい、気をつけます」
無邪気に笑う口元から覗く八重歯が麻衣ちゃんをより一層幼く見せる。俺の胸に一瞬走った罪悪感は、今夜帰宅してからのお楽しみへの期待に塗りつぶされた。
で、こういう日に限って残業が待っていたりする。まぁ単純な連絡対応だけだったんだけど、悪いことってだいたいスムーズにはいかないもんだな。
コンビニにも寄らず脇目も振らず帰宅した俺は、照明とエアコンをオンにしたリモコンやトートバッグをベッドに放り投げ、カーテンを閉めて早足でパソコンデスクのゲーミングチェアに腰を下ろした。逸る手でパソコンをブートしポケットからスマホを取り出す。