LIGHTING ONLY THE NIGHT-2
有無を言わせず、君の悲鳴を封じるためにキスする。
熱く激しく……滑らかに。
舌が絡み合う。
呼吸が絡み合う。
俺の胸に、腕を突っ張って抵抗したつもりの君が
やがて俺を探るように、両手が皮膚の上を彷徨い始めた。
衣服を裂いて、寝具を剥いだ。
君の両足が、暴れるように宙に浮かんだ。
瞬時に押さえて、大きく脚を開かせる。
大丈夫だ。
すぐには痛くしない。
十分に解してやろう。
形ばかりの、君の抵抗が解けるまで。
女としての価値も、そう捨てたもんじゃないと解らせてやろう。
女としての価値を、俺が高める。
この想いは、正当だ。
この行為は、正当だ。
背信とは、君の心に棲む“幻影”にすぎない。
花が散る証は、俺のシャツで汚せ。
さあ、素直になれ。
嵐が再び巻き起こして、空を引き裂いた。
君をも引き裂いた。
長い叫び声が、やがて甘く短い喘ぎ声になる。
罪悪感などない。
あるのは恍惚、至福感だけだ。
引けど引かぬ波に彷徨いながら、情熱の契りを交わし合う。
寝ても覚めても、思い出したように口づける。
そして……。
空が白む。
外の嵐は、過ぎ去った。
現実に立ち向かう時だ。
君の深奥に情熱という刻印を残しながら…
…ひとまず、サヨナラさ。
君は捨て駒だ。
あの一夜を初めから無かったことにするなら、それでいい。
俺は、君にキッカケを与えた。
生まれた時から定められた運命の殻を破るキッカケを。
君は逃げられない。
体裁という柵からも、俺という呪縛からも。
失うものなど何もない。
簡単に失えないものを、俺は既に手にしている。
心の中だけでなく、すべてに於いて。
運命に逆らうのは屁でもない。
所詮“運命”とは、人間の本能のようなもんだ。
逆らっていると思い込みながらも、結局知らず知らずに流されている。
俺は“運命”に罠を仕掛けた。
獲物は君だ。
これから結末がどこへ往こうとするのか、辿り着こうとするのか。
後は、君次第だ。