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LIGHTING ONLY THE NIGHT
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LIGHTING ONLY THE NIGHT-1

嵐の夜。
俺の内に相応しい。
渦巻く想い。
アテもなく彷徨う想い。
深い森のザワメキがますます闇を濃くする。

荒れ狂う雨に、窓越しの視界が大粒の水滴で容赦なく遮られる。


大歓迎だ。
煙草をくゆらしながら、バルコニーに出る。
即座に、全身ごと雨に殴られた。

ちっ。煙草が湿気たぜ。

右を振り向けば、君の眠る部屋が見える。
このままバルコニーをまっすぐ渡れば、難なく行ける。

・・・・・・・・・・・・。
奪ってしまおう。

俺は放蕩息子。
家族のはみ出し者。
たとえ一時の過ちだとしても、世界が終わる訳じゃない。
君が世渡り道具として、跡継ぎである兄貴に差し出された花嫁だとしても
今この瞬間は誰のものでもない。


奪ってしまおう。
もう迷うことはない。
一筋、雷鳴が俺の背後で轟いた。

さあ、合図だ。

突っ切る。
君の部屋のバルコニーのドアノブを、外から掴んだ。
古い屋敷だ。
強く揺すれば鍵が外れて、それは大きく開いた。
待っていたかのように雨粒が忍び込んで、部屋の絨毯を濡らす。
素早く遮るようにドアを閉める。
背後でまた、雷が暗黒の雲を裂いた。
白熱色の光に、一瞬にして浮かんだベッド。
その上には半身を起こした君が、息を呑むようにして俺を見つめていた。


俺が来るのが分かっていたのか?
まさか、だろう。
この狂おしい想いを、今まで君は無下に切り捨ててきた。



完璧な花嫁として、晴れの日を迎えるために。
俺の気持ちをそれとなく知りながらも、俺の存在をないがしろにした。
同じ屋根の下、来る日も来る日も……

誇り高き家系として生まれ育ち花嫁修業として迎えられた君と
めったに屋敷に寄り付かず家業と袂を分けて仕事と放蕩に明け暮れる俺との間に
絡み合う利益などない。


だか、運命はある日、ふたりを絡んだ。
見つめ合った瞬間、非情にも火花が散った。


今夜、君を抱く。
沈黙が漂う部屋の闇に、また雷鳴が迸った。
そして、ふたりの情熱も。


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