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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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噂 / 番外編:美魔女グランプリ・前夜(前編)-3

「ま、あんな可愛い奥さんが淫乱だったらちょっと出来すぎだし」
「じゃあ人妻ゆきが出来すぎってことか」
「人妻ゆきは頭悪そうだから」
「たしかに。元カレと不倫してアナルセックスのハメ撮り許す女が身近にいたらさすがにひく」
「臭そうなおっさんとの路上アナルセックスまで」
「愛人としては最高」
「どうすか、専務。人妻ゆきみたいな女性は」
「だから俺に振るなって、ははは」
「それに比べゆきさんときたら。美魔女の撮影も自己PRもインタビューもいかにも初心で清楚で」
「マジ天使」
「残念ながら人妻ゆきとOさんは別人てことか」
「半分わかっちゃいたけど」
「女も一長一短だな」
「現実は厳しい」
「うーむ」

 部下たちがそれぞれ仕事に戻ると、Wは彼らに教えてもらった人妻ゆきのスレッドをスマホで開いた。画像や動画をいくつか確認すると、得心したように二度、三度うなずき、どこかへ連絡するのだった。



  *  *  *



## 番外編:美魔女コンテスト・前夜(前編)

 二月上旬、都内某所――。

 美魔女コンテストを主催するE通堂の会議室は、重苦しい雰囲気に包まれていた。会議卓には書類審査用の写真付きエントリー用紙が乱雑に重ねられている。

「応募状況はどう?」
「あまり芳しくないですね」
「めぼしい人は?」
「ま、お察しください……」
「昔は一回り大きな会議テーブルにうず高く積まれていたのにな」
「タレント事務所方面は?」
「もちろんあたってますよ。でも結局皆この歳まで芽が出てないタレントさんですからねえ」
 この手のコンテストでは売れない女優やモデルを「素人売り」することがある。名前もプロフィールも変え、あたかも素人のように出場させる。
「マンゴーさんも今年でスポンサー降りるって」
「覚悟はしてたがいよいよか」
「考え直してもらうことはできんのか」
「交渉中ですがね。二言目には『いいモデルさん供給してくれなきゃ』ですよ」
「ごもっとも」
「コンテスト出身のマンゴーモデル、久しく出してないからなあ」
「スポンサー料の値下げもまた要求されてます」
「ここまでよく付き合ってくれたほうっす」
「美魔女コンテストも潮時か」

 今年で十五回目を迎える「美魔女コンテスト」は岐路に立たされていた。
 最初は物珍しさと年齢を感じさせない参加者の美貌で人気を博した本コンテストも、近年はマンネリ化が進み、世間から飽きられつつあったのだ。下火になれば参加者は減り質も落ちる。質が落ちればさらに注目されなくなるという悪循環。単に美しさを競うだけなら十代、二十代対象のミスコンで十分では、などという「そもそも論」に反論できないでいた。

 メインスポンサーである高級セクシーランジェリーブランドの「シークレットマンゴー」も、かつてはコンテスト入賞者から専属モデルをたびたび起用し好評を得ていたが、最近では国内向けマイナーラインの小さな商品カットで申し訳程度に使うのみという有様であった。

「なんとかならんのかね。もっと大々的に宣伝するとか」
「予算があれば」
「貸しのあるメディアにねじ込んで取り上げてもらえよ」
「目玉になるような参加者がいればいくらでも取り上げますよとは言ってくれてますが」
「暗にお断りされてるな」
「結局は参加者の質なんですよ」
「まったくお前ら雁首そろえて。知り合い伝手でもなんでも、まだ世に出ぬ隠れた美魔女を引っ張ってこれんのか」
「局長や部長らご推薦の方々はどうです?」
 会議卓の一角に、他とは区別して数枚のエントリー用紙が置かれているのを、めいめい手にとってパラパラめくる。
「彼女らはクライアントのお偉いさんの奥さんや姪っ子さんだから。正直、質は度外視」
「愛人さんも混ざってんのかな」
「知るか。とにかく最低限ネット投票まではフリーパスさせてやってくれ」
「まともにやれば二次審査も厳しいっすね」
「まーた投票結果捏造せにゃならんのか、やれやれ」
「恥かかすわけにはいかないから」
「すまんが上とクライアントに恩を売ると思ってだな」
「こんなことやってるからコンテストの価値が落ちるんですよ」
「まあまあ」

 ここ数年、毎年のように繰り返されているおなじみのやり取りに、E通堂コンテスト運営事務局のメンバーも飽き飽きしていた。かといって起死回生の策があるわけでもなく、今年も淡々とコンテストは開催されさしたる成果もなく終わるのだろうと、誰もが諦めにも似た思いを抱いていたのだった。


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