出逢い・こいびと-5
多目的トイレの外に出ると、空はいつのまにか夕焼けで茜色に染まっていた。公園の中には相変わらず人っ子ひとりいない。
俺はランドセルを背負ったしのちゃんの手を引いて公園を出て、しのちゃんの家の方向に向かってふたりで歩き始めた。しのちゃんの右手は、初夏の暑さのせいか、しっとりと汗で湿っている。
「彼女」と手をつないで歩くって、こういうことか。それも小学2年生の「彼女」と。
歩きながらしのちゃんが歌う櫻坂46の新曲が、俺の耳に心地いい。
しのちゃんのアパートへ通じる路地の手前まで来ると、俺はしのちゃんと向かい合うようにしてしゃがんだ。しのちゃんの顔と俺の顔が、しのちゃんの体温が伝わるくらいに近づく。
「しのちゃん、また明日の朝、歩道橋で会おうね」
「うん!……ねぇ、お兄ちゃん」
「なに?」
「……ぜったいまた、おちんちん見せてねっ」
そう言ってしのちゃんは路地へ駆け出した。背中のランドセルがカタカタと揺れ、それが夕暮れの中に見えなくなる直前にしのちゃんはいったん立ち止まり、こちらを振り向いてバイバイと大きく手を振った。
ペドフィリアとしての恋愛成就の恍惚感。小学2年生のしのちゃんに勃起したおちんちんを見せた興奮。
俺はそのふたつの感情に浸りながら、しのちゃんの姿が薄暗くなってきた路地の中に完全に消えるまで見送ると、家に帰ったらたった今至近距離で嗅いだしのちゃんの8歳の少女の息臭を思い出しながらしのちゃんが「おちんちん、だーいすきっ」と言っている動画を見てオナニーしよう、と、自転車を取りに行くために公園に向かってダッシュした。