覚醒、欲しがる未亡人 本間佳織@-5
「あたしね…気になってる人がいたの」
「え?」
唐突なカミングアウトに、理央は頭の中が真っ白になる。
「夫への不義理を理由にして…ずっと断ってたの。だけど…強引だったかもしれないけど、佐藤くんたちのあれがきっかけで……吹っ切れたんだ」
ーー佐藤くんたちがあんなことするから……素直にならざるを得なくなっちゃった……エッチ、他の人としないって決めてたのに……
(あれは……旦那に操を立てつつも…その男に対する言葉でもあったの……?)
「付き合ってるんですか……」
「…うん、そんな感じなのかな……。本当に佐藤くんたちとああいうことになるまで、暫くなかったの…。亡くなった夫を裏切るのが怖かったんだけど…吹っ切れるものだね、簡単に」
理央は一文字にきゅっと結んだ唇を震わせていた。
ぷつん、と張り詰めた理性の糸が切れた音がした。
おもむろに、自身の首からネクタイを外して、佳織の体を抱き寄せた。
ドサリ、と佳織のバッグが床に落ちる音がする。
佳織が声を上げる間もなく、理央は佳織の手を後ろ手にクロスさせてネクタイで縛り上げる。
「佐藤くんっ……ど、どうしたの…」
何も言わず、佳織の体を引き寄せて、ベッドへと押し倒す。
理央はこんなに強引に女性の体を扱ったことはなかった。
佳織のパンプスを脱がせ、その上に馬乗りになる。
ーー嫌われてもいい、もうどうなってもいい、そう思っているのに、震える佳織を見たら、手が止まってしまった。
「本間さん、やだよ……」
佳織の耳元で、震える声で理央は呟く。
「嫌だ……僕、今日そんなこと聞くために我慢したんじゃない。僕、からかってなんかないよ。前にも言ったのに」
「ーーあっ、佐藤くん…触らないって…約束…」
理央は左肘と両膝で自身の体重を支えながら、佳織のスカート越しに、左の太ももに親指を沈める。
さらに手のひら全体を太ももに宛てがうと、佳織の唇から反射的に「ひっ」という声が漏れ出した。
「ここ…どうやって触られたの……僕の上司に…」
スカート越しに、理央の手のひらの熱が太ももへと伝わる。
いきなりのことに佳織の太ももの筋肉が強ばるのに反して、理央の手は、その緊張をほぐすように優しく太もも撫でる。
「教えて、本間さん」
理央が、佳織の唇についばむようにキスをする。
後ろ手に体を拘束して、ベッドに押し倒すという強引な行為を行なっている反面、理央の動きは優しかった。
「スカートの上から…撫でられただけ……落ち着いて、佐藤くん…どうしちゃったの。手、解いて…」
「ーーわからないの?僕、本間さんのこと、女性として……好きなんだよ。だから、嫌われたくなかったのに。僕じゃダメ?って言ったの、嘘じゃないよ。からかってるのは本間さんの方じゃん」
その言葉に、ずきっと佳織の胸が痛む。
そんな彼と二人きりになり、一方で気になる男と結ばれたと伝え、一喜一憂させてしまったのかーー
「はっ、あっ…嫌…!」
佳織の身動きが取れない中、理央はスカートの裾先に手を触れて、布を捲り上げる。
左の太ももの内側に、理央の指が滑る。
反射的に脚を閉じようとするが、いとも簡単にそれは開かれ、佳織の蒸れた股間が理央の目の前に現れる。
だが標的はそこではなくて、あくまで佳織の左脚だった。
「触られたんでしょ、ここ」
左脚を立てさせて、膝上から唇を押し当てる。
まるでその唇で、理央の上司に触れられた箇所を上書きしていくようだった。
幾度も指で、唇で脚をなぞられ、緊張で佳織の体から汗が吹き出る。