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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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恋人達の悩み7 〜Summer Vacation〜-15

 すぴすぴ眠る輝里の横で、秋葉は身悶えしていた。
 輝里となかなか体の関係を持たないのは、性欲がないからではない。
 いや、自分がヘタレているせいもあるのだが……秋葉個人一番の理由は、輝里の華奢さのせいである。
 抱いている最中にぽきんと壊れそうな脆さを感じると、どうしても萎えてしまうのだ。
 だからついつい体の恋愛は敬遠してしまっている訳で、性欲と興味はまあ人並みにある。
 だからこうして恋人が腕の中で安らかに眠る時、秋葉はどうしていいのか分からずに目を白黒させているのだ。
 恋人の寝込みを襲うだなんて、男としていかがなものかと考えているのだが……そんないかがなものか的行為を、どこの誰とは明言しないが友達の一人がしょっちゅうやっていたというのは、秘密にしておこう。
 
 はぅ……
 
 秋葉は、ため息をついた。
 約一年前……輝里とここまで親しくなるのには、美弥と龍之介のお膳立てがあった。
 その時に生まれて初めて喧嘩をした事とかとんでもない物体をプレゼントされた事とか諸々あるがそれは忘れておく事にして……今はそんなお膳立てもなく、全てを自力でやらねばならない。
 輝里とそれなりの関係を築けているとは思うが、一年経っても初心者マークの付きそうな関係だというのは、我ながらいかがなものかとも思う。
「どうすりゃいいのかね……」
 
 
 コテージの浴室は、なかなか豪華である。
 幅三メートル近くある円形の浴槽にはジェットバスの機能が備えられているし、天井はかなりの部分がガラス張りなので、空が丸ごと見渡せた。
 疲労回復に役立てろとでもいうのか、ラベンダーとイランイランの精油をブレンドしたバスソルトまで置いてある。
 龍之介はたっぷりとお湯を張ってある浴槽へバスソルトを何掴みか入れ、脱衣所まで戻った。
「きゃっ」
 先に服を脱ぎ始めていた美弥が小さく悲鳴を上げ、くるりと背中を向ける。
 この恥ずかしがりな性質だけはどうにかならないかと思い、龍之介は苦笑した。
 抱き合っている最中の乱れっぷりに比べれば、裸を見る事なぞ可愛いものである。
 まあ……ベッドの中と外でのギャップは恋愛関係のいいスパイスになっているし、恥ずかしがる美弥が羞恥心を彼方に吹っ飛ばして鳴いているのは見ていて満足感を得られるから、それら全てを楽しんでいる龍之介にはあまり文句を言う筋合いはない。
 ただ不可解なのは、お風呂に入るという行為そのものには恥ずかしがらない美弥の異常な恥ずかしがりっぷりなのだが……理由は、すぐに分かった。
「僕らが最後みたいだから、ゆっくり入ろうか」
 とりあえずこの態度は気楽に流し、龍之介は服を脱ぎ始める。
「ん……」
 龍之介と顔を合わせないようにしながら、美弥は下着を脱いだ。
 だが龍之介の目は、しっかりそれを捕らえてしまう。
 脱いだショーツのクロッチ部分に、愛液がべっとりと染みを作っていたのだ。
 これを見られたくなくて、妙に恥ずかしがっていたらしい。
 理由が分かれば美弥に恥をかかせる必要はないため、龍之介は目を逸らす。
「先、入ってるから」
 龍之介は声をかけ、そそくさと浴室へ行った。
 浴用椅子に座って頭を洗っていると、間を置いて美弥が入ってくる。
 細っこくてすべらかでバランスの取れた肉付きが最高に抱き心地のいい体を見て、龍之介は目を細めた。
 こんなに綺麗な体を自分は思う様に貪る事ができると思うと、つい口元が綻んでしまう。


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