幼女の唾液と歯垢の匂いで 〜愛美6歳〜-1
受付の電話が鳴った。歯科助手の宮群さんが応対する声が聞こえる。
「はい、第一アップル歯科医院です…あぁ、愛美ちゃんのお母さん…ええ…、はい、はい、わかりました、少々お待ちください先生に確認します」
お、愛美ちゃんがどうかしたか。
スリッパの音が聞こえ、開けっ放しの院長室のドアから宮群さんが顔を覗かせた。
「失礼します」
「はい宮群さん、愛美ちゃんですか?」
「あ、聞こえてらしたんですね、そうです、今日13時からの愛美ちゃん、お母さんのご都合が悪くて15時くらいに予約変更したいとのことなんですが…」
「愛美ちゃんは今日はPTCでしたっけ」
「はい、そうです」
「わかりました、予約変更問題ありません」
「承知しました、あの、先生私…」
宮群さんはためらいがちに言葉を濁した。
「宮群さんも息子さんのスイミングスクールの付き添いがありましたよね、PTCですから、私ひとりで対応可能です、ご遠慮なくいつもの時間で帰宅されてください」
「恐れ入ります、では…」
ほっとした顔になった宮群さんが受付に戻り、愛美ちゃんのお母さんとの会話を再開する。
いや、宮群さん気になさらなくていいですよ、むしろひとりのほうが好都合なので。
午後の診療は14時30分に終わった。私は帰っていく宮群さんを見送り、入口に「休診」の札をかけ、診察室のブラインドを落とした。
診察室に3台ある診察台のうちの、いちばん奥にある座面がブラウンの台にPTCで使用する器具をセットした。そして、口腔内を照らすための無影灯にULTRA HD対応の平べったいスパイカメラを取り付けた。
PTC(Professional Tooth Cleaning)とは、かんたんに言えば歯科医師や歯科衛生士による口腔クリーニングだ。
大人でも、口の中のケアが正しくできていない人は多い。
歯磨きひとつ取っても、正しいブラッシングとそうでないブラッシングがある。
間違ったブラッシングでは歯垢が残ってしまうし、細菌が繁殖して虫歯の原因にもなる。
また、唾液に含まれるカルシウムが残った歯垢に沈着すると石灰化して歯石になり、これは歯磨き粉などでは除去できない。
これらに対して、薬剤や器具を使用して歯石を除去したり、歯と歯茎のすき間などに残った歯垢を取ったり、正しいブラッシングを指導したりするのがPTCだ。
私が経営し院長を務めるこの医院は小学校のすぐ近くに位置するため、児童の患者が比較的多い。
学校歯科健診の時期などは、学校医と連携して無料の歯磨き講習を行ったりするなど、デンタルケアの啓蒙にも努めている。ま、啓蒙だけが目的ではない。
歯磨き講習の際、当たりをつけた女子児童の親に、
「お子さん口腔内の状態があまり良くないですね、このままだと虫歯が増えるリスクがあります、当院午後にPTCを設けていますので、ご予約されていきますか?」
と勧誘すると、半分くらいの親はお願いします、となる。
保険適用外だが、「啓蒙」でもあるので、破格の診察料で行うから、親の負担も少ない。
おかげで親たちからはいい先生、と思われているようだ。
あにはからんや他の目的もあるんですよ、その証拠に女児の親メインにり声をかけるでしょ。いちおう男子児童の親にも声はかけるけどカモフラですよ。
そう、児童へのPTCは、私の性欲を満たす目的も兼ねている。
ペドフィリアで口腔フェチ。
そういう私の性的嗜好を満たすために始めたのが児童へのPTCだ。