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【青春 恋愛小説】

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1:1:1〜豊田早将〜-2

何があった?
すぐにそう聞きたかったけど、声が出なかった。

佐和の涙は俺の胸に突き刺さった。
いつも笑顔を絶やさなかった佐和が、俺の前で泣きだしたことがつらく、悲しかった。

「……早ぁ…」

絞りだすような声で佐和が俺を呼ぶ。
俺は佐和の手からパックを取ると、もっていたたこ焼きを戻した。

佐和は膝を抱え、うつむき泣いていた。
「〜…っ自分が嫌だよ…っ…自分で壊したくせに、まだ壊そうとして……」

佐和の言葉の意味がわからず、俺はただただ見つめるしかなかった。

「早ぁ…あたし早のこと…大好き…一緒にいてこんな楽しいの…初めてだよ?早の気持ちに気付いた時、嬉しくて応えたかった。でも…ダメ…早と比べれば比べるほど気になって…どんどん好きになっちゃって…」

俺の瞳に、佐和の艶っぽい茶色の短い髪が映し出される。

「あたしさっき…成に告白した…」

大好き
その言葉に心が光で満ちた。

成に告白した
その言葉で、瞬間暗転。

俺はとりあえず笑みを浮かべたんだ。
それは笑顔と呼ぶには程遠い顔だったけど、佐和が笑ってくれれば…笑って嘘だよと言ってくれれば、それでよかった。

でも佐和は涙しか見せなかった。
助けを求めるように、たこ焼きのパックを持つ俺の手を、小さな細い手で握ってきた。

「無理だって言われたけど…早の事も考えたけど、やっぱりあたし…諦めらんないよぉ…」

告白する前に振られる。
そんなこともあるんだ。

佐和の手の暖かさを感じながら、どこか冷静にそんなことを考えていた。

「相談できる立場じゃないけど…つらいくて…胸が痛い……助けて早将…」
佐和はその潤った目で俺を見つめた。

「…佐和…」




「こんちくしょー!成将ぁ面かさんかい!!」

俺がチンぴらのように威勢よくクラスの模擬店の前に現れると、クラスメイトは腹を抱えて笑った。

ただ1人笑わなかったのが成将。
ポーカーフェイスだから?
否。
たぶん俺が佐和と一緒に居ないのを見て気付いたんだ。
何があったか…

「面貸せ…成将」
「……」
少し悩んで、成将は前掛けを取った。


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