女らしく【09】『子供と子守と子育て』-3
「本当に愛くるしいですわね♪」
奏が琴音の顔を見ながら話しかける。
「かわいいですぅ〜♪ポヨポヨしてて、結構…大和さんにも似てると思いません?」
ミリィが軽く頬を突っ突く。
そ、そうか♪へへっ♪大和似かぁ……
「…どこがだよ…」
隣りでは、狐姿の稲荷がそっぽを向いている。
今、談話室にいるのはオレと琴音と晴樹と奏とミリィと博士と稲荷。
詩乃はまだ気絶しているのか、此所にはいない。
そして大和は
『うわぁ!かわいい!!マコトちゃんもやるぅ♪じゃあ今日は、お赤飯…いや、ウエディングケーキよぉ!!!』
と暴走した撫子さんを止めに行った。
無事に止められるといいが…
「あんまり泣かない子ですわね」
「図太い神経も大和さん似?」
「ねぇねぇ…ちょっと抱かせてもらってもいいかな?」
晴樹が珍しく積極的だ。
「いいよ。落とすなよ?」
「晴樹…何かあったら貴方をその子と同じ目に遭わしますわよ?」
刺し貫く様な冷ややかな視線。晴樹の表情が強張る。
けれど、琴音はケロッとした顔をしている。
普通の子なら、この眼光だけで泣きそうなのに…
変わった子だなぁ…
「うわぁ…暖かい…」
晴樹の口から感嘆の言葉が漏れる。
「我輩にもいいデスカ?」
オレの後ろから博士が顔を出す。
バッキィィン!
琴音の死角からの裏拳。
暴力は子供の教育に良くないからな♪
「な、なんで我輩はダメなんデスカ!!理由を十文字以内で述べなサーイ!!!」
鼻を押さえながら博士が叫んだ。
「存在が危険」
以上。十文字以内だぞ。文句あるか?
「ヒドイ!あんまりデス!我輩だって純粋に生命の神秘に触れたかったノニィィ…」
部屋の片隅でブルーの影を落としながら、床にのの字を書いている。
…そういう台詞は手に持ったメスを置いてから言え!
「ふぇっ…ふぇぇええぇぇん!!」
琴音がようやく泣き出した。良かった…自己主張はちゃんとしてくれた。