(番外編)遠い過去からの男とロボットたち-2
4
最近になって、新しい娘を見つけたことも。どうやら自分のところから逃げた妾の「人形女」が孕んでいたのだ。知らない間にすくすくと育ち、「父親に歪んだ執着心があって殺したがっている」そうだから傑作だった。
いつか、セラという名前らしい、直接会ったことのない愛娘から殺されるのだとしたら愉快ではないか。あるいは全裸で飛び出していって、びっくりさせてやろうか? しかも馴染みのあるロボットウォーカー・カプリコン(オリジナル)に乗っているらしいから、いつか遊んであげたいものだ。パイロットでセラの友人のパトリシアとかいう中古娘(肉便器)にも、敬意と感謝で調教レイプしよう!
チェルシーも合わせて、一人くらい孕ませてやりたいのだが、反抗的な息子が守っているのが良くない。せめて中途半端せずに、いっそ姉弟で近親相姦で「完全な人間により近い」孫を作ってくれたらいいのに。
人生に楽しみは尽きない。
あのとき絶望して自殺しなくて良かった。
ともあれゲリラになって良かった。
ひたすらレイプしまくって良かった。
すごく幸せいっぱいです!
目をキラキラと輝かせた、壮年の狂った美男子は吸血鬼の王様のように、椅子にふんぞり返って足を組み、自家製の赤ワインのグラスを玩んでいた。
5
そのころセラはコックピットでくしゃみ。
しかも荒野で戦闘中。
村の領域エリアに侵入してきた野良のロボットウォーカー(人工知能で徘徊)と、懸命に殴り合っている。
州軍閥の強力な戦力で、根こそぎにできるという考え方が間違い。修復機能や自動整備工場があるだけではなかった。野良ウォーカーを無理に倒そうとすると衛星軌道上の戦略援護システムが反応してしまうだろうため、高出力レーザーで撃たれる危険が高い。
せいぜいが少ない数で、地道に殴り合って撃退するくらいが関の山なのであった。
「このこのこのこの!」
ナックルクローで小突き回して、蹴り飛ばす。
それでも茶色い卵に手足が生えたようなこいつは頑丈でしぶとく、パワーのある腕は爪になっている。おまけに腹からレーザーまで出してくるから、始末に負えないのであった。
ようやく撃退したときには、パトリシアとセラはくたくたで、汗みずく。
「何なの、あいつ。いくら殴っても「なんともないぜ」みたいに平気で、頑丈すぎるって」
「アホみたいに強かった。疲れた!」
この前には、下半身が戦車の丈夫な奴が、両肩のキャノンから無差別砲撃しまくって、都市の近くで危なかったことまである。たまに変形して空から変なのが襲来する場合まであるそうだが、勘弁して欲しかった。
「ん?」
前方で、白い細身の新しい奴と戦っている。
まるで同窓会でもするように。
彼らの「戦争」はまだ終わっていない。
命じた人間たちがいなくなっても、彼らは「夢」を見続けていて、今のこの世界はひょっとしたら彼らの夢なのかもしれない。そんな途方もなく馬鹿げた考えが、ふと一瞬だけ浮かんで消えた。
6
その数日後。
セラはカプリコンの電子回路に接続した、黒ゴムでセンサー付きの人造ペニスをナイフで突っついていた。
「聞いてるの? おい、コラ! カプリコン!」
少しだけ頬を火照らせ、怒りの涙目になっている。
「機械のくせに、あんなことするなんて!」
ついさっきまでパトリシアと仲良く、パイロットシートからの超振動でエンドレス絶頂アクメさせられていた。このロボットの「悪戯」らしいが、そういうことをするのがおかしいわけで、人工知能がいったい何を思ったのか問い詰めている。
「こいつ、パトリシアで学習して、すっかり変態にでもなったんじゃないの? 機械のくせに、最低!」
「この子も、やっぱり「心」があるんだね。エヘヘ」
怒り狂うセラをよそに、パトリシアはどこか嬉しそうにしている。セラからギロリと睨まれて狼狽し、パトリシアはコックピット内のカメラに人差し指を立てた。
「ああいうのは、やっちゃいけないの! めっ!」
優しく叱る口調に返事するように、レンズの調整音とコンピュータの電子音が鳴る。隣のセラはダークな口調で「次やったら壊す」などと呟いていた。
コンソールにこんな文字が表示された。
「Clear. You are humen」
あとで二人は気がつくのだが。
セラのコントロール・パイロット権限が昇格されていたり、パトリシアも何故かこれまでに封印されていた機能が解放されていたりしたらしい。