4日目-8
「誰が言ったか知らないけど、僕は、今のももちゃんが大好きだよ」
「お兄ちゃん、優しいから…」
「違うよ、僕は…」
ももちゃんは急に立ち上がり、部屋から出ていった。
僕は追いかけようとしたが…思い直した。
彼女にも、心の整理が必要なのだろう。
しばらく待った。なかなか戻らない。
さすがに心配になってきた。
部屋から出て、探しに行った。
ももちゃんがいたのは、今はほとんど人のいない、本館ロビーの片隅だった。
ソファーに座って、小声で何か言っていた。
「うん……そうだよ……わたしも、ちょっとだけ……うん………あやちゃん、ありがとう………」
僕に気付いてないみたいだ。
また、イマジナリーフレンドか…
しかも名前があるんだ…
僕は声をかけるのをやめて、部屋に戻った。
やっぱり、今日は無理かもしれない。
ももちゃんに無理強いはできないから、初セックスは、あきらめた方がいい。
そもそも僕が悪いんだ。
今日セックスするなんて宣言したから。普通、そんなの予告とかしないだろ?自然な流れでするものだ。
おかげで、ももちゃんを怖じ気づかせてしまった。
いままでしてきたエッチな行為は、ただの前戯にすぎない。風呂でチンコを触るとか、暗闇で弄り合うとか。
男女の本当のセックスとなると、話は違う。しかも処女を失うのは痛みを伴う。ももちゃんも、それくらいの事は知ってるはずだ。怖いのは当然だ。
ももちゃんが戻ってきた。
部屋に入るなり、タオルを手に取った。
「わたし、お風呂行ってくる」
「え?また?」
「だって…もっとキレイにしないと…」
また出ていった。