承-4
【8】
その後は、分別のある大人同士の話し合いとなり、スムーズに示談が進む。
話が三文小説並みのご都合主義に進んだ要因としては、少ない情報量から機転を利かした仲田の経験と臨機応変さが生きた。
「それでは、修理はご都合の良い日時を事前にご連絡ください。それに合わせ、同等の代車も何とかご用意させて頂きますので」
仲田は内ポケットから名刺ケースを出し、
「それと大変申し訳ないのですが、バイクはこのまま名刺にある営業所に移動お願い出来ませんでしょうか?」
今一度ガテン系に深々と頭を下げる。
「ああ、良いぜ。さっきも言った通り、俺も昔は悪かったからな。それにしても…… 」
ガテン系は、ひと呼吸おき
「J.K.のネエチャン、兄ちゃんが車屋だったんで言い難かったんか?」
背後の女子校生に目を向け言った。
「それとこれは、ご迷惑を掛けたので。“解決金”として…… ですから、このことは何分にも…… 」
“解決金”と言う言葉の部分から声を潜めた仲田は、財布にあったモノをガテン系のポケットにそっと入れる。
背後の女子校生に対し、バツが悪そうな表情を浮かべるガテン系だったが、
「俺も正直忙しいし、ヤボは言わねえ」
ある意味、それを男っぽく受け取った。
財布の中に用意されていた紙幣10枚は、仲田が粕和駅前の苦情処理に、念のため備えていた“解決金”であったことは言うまでもない。
事故車両の修理代こちら持ち、プラス10枚なら相手にとっても悪くない落としどころだ。
そして、
「そうだ、J.K.の兄ちゃんよ。悪気は無かったんだが、一応逃げられねえように、預かってたのを返すよ」
そう言うと、女子校生の生徒手帳を仲田に手渡した。
仲田の希望通り、原チャリを届ける約束をしたガテン系は、本当に忙しいらしく電話を掛けながらその場を後にする。
ペコペコと頭を下げながら通話するガテン系の後姿に、仲田は自分と同類のにおいを感じていた。
第一印象は最悪の相手であったが、こうしてみれば存外良いヤツにさえ思えてきた。
ガテン系のハイビースバンを見送る仲田の手には、
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| 県立水部第三高等学校 |
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| 音楽科 ____ |
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| 一年生 | | |
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| 皆見綾音 | | |
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女子校生の名が記された生徒手帳と、事故の様子が記録されたマイクロSDが握られていた。
仲田は走り去るガテン系のハイビースバンの後部を眺めながら、ホッと一息つくと共に、“車検が切れていること”を伝え忘れたことを思い出した。
黒髪JK♪ハメ撮りレイプ 本編へ つづく