晒し台歓迎会と悪魔のような少女-2
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ナツキ・イー・リャンの脳裏を掠めたのは、自分をこの境遇に追いやった、あの限り「悪魔のような少女」だった。小柄で見た目が弱そうな、可憐な金髪娘を潜伏同志の男に誘拐させようとした。
そうしたら、瞬く間に返り討ち。一人はナイフで喉を切られ、もう一人はメッタ刺しであった。子猫のような外貌の印象だが、猛猫カラッカルのような戦闘能力。
手を出してはいけない奴だった。
逃げようとして、数歩で追いつかれて、背中を蹴り倒される。ちょうどバランスを崩す位置とタイミングで狙ったとしか思えない。クルクル回って倒れ込んだところへ、不気味に光るナイフで迫ってきた。
「それで、あなたもお仲間よね? ねぇね、どうするぅ? セップクしとく? 「縦一文字で女の切腹」で私が手伝ってあげようか? オマンコからナイフを差し込んで、そのままお臍の下まで切り上げるの。踏んづけるとさ、内蔵がハミガキのチューブみたいに飛び出して、すっごく汚くて臭いの。あなたに似合ってそうじゃない?」
少し返り血を浴びていたが、それで動じている様子も一切になかった。落ち着いた冷酷な眼差しを細める面差しは、獲物を狙って襲いかかる小型肉食獣のよう。無茶苦茶な言い草も「この娘ならやりかねない」という真に迫ったオーラと凄みがあった。
しかも、尋問が酷かった。
なんとあの金髪な可憐な少女が拷問に手を貸した。
神懸かったセンスは天才。乳首や外性器に針を刺して愛撫するというやり方で、苦痛と快楽の両面から責め立てられ、知っていることを洗いざらい喋らされた。
本人が言うにはレズビアンでサディストという稀有の人種らしいが、身でもって体験した者にしかあの本当のヤバさは理解できまい。遺伝的には父方がマジャール人の混血だとか言っていたが、きっと古代ローマを破壊したアッチラ大王のフン族の流れを汲んでいるだろうと、楽しげで誇らしげに語っていたのを思い出す。残酷に目をキラキラと輝かせながら。
悪魔のような少女、奴に遭ったのが運の尽きだった。