ゲリラ村の歓迎会/女傑の悲劇-1
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盗賊カルトゲリラ村に到着すると、まず「全員服を脱いで裸になれ」と命じられた。逆らうと怖いしパンチなので、みんな唯々諾々と従うしかない。
一人ずつ台に上らされて、一糸まとわぬご挨拶だ。
これから労働と性奉仕の新しい奴隷になるのだった。
多くは悄然としたり、半泣き・号泣で恥じらいながら、小突かれ蹴飛ばされて、名前や素性や経験人数や感じるポイントをマイクと大声で白状させられる。その時点で人権剥奪的な無残の光景であった。
そんな中で、一人の猛者がいた。
東欧系白人のポルノスター、スー・ザコバッバだ。やさぐれて擦れた雰囲気を醸し出しているものの、見た目はくすんだブロンド美女の不良娘という感じ。まだ二十歳なるかどうかくらいらしかったが、どこか風格とオーラが違う。
何しろ、今回の人質交換で「半ば自ら希望」したのだから腹が据わっている。金や麻薬のために不正と犯罪に手を染めていやり過ぎたのは事実であったものの、それでもせいぜい刑務所で一年くらいで済む程度の立場だった。それを「私があっちに行くと、交換で可哀想な女が助かるんだろ? あっちだったら葉っぱも男も不自由しなさそうだし、刑務所なんかよりあっちに送ってくれよ」という男前な言葉で、自分から望んでこうなったらしい。
壇上に飛び上るなり、がに股に腰と女性器を突き出して、隠すこともなく自己主張する。
「見えるか、マイ・プッシー! 目を皿のようにして拝んでろよ、チンポコ生物どもが。私はスー・ザコバッバだ! 最高のポルノスターな私の動画やピンナップでシコったことがある奴は手を上げろ!」
しばし静寂があった。それから見物しているゲリラ兵士の群衆の十何人かがパラパラと手を上げ、あちこちで歓声や口笛や拍手が巻き起こる。
スー・ザコバッバは親指を立てて、それで喉を切る真似をして、全裸の笑顔。居直り方が尋常でない。
「まだ勃ってないインポは、さっさと喉切りでもハラキリでもして、地獄で欲求不満なサキュバスに鞭打たれてきな! それから、いい機会だから、今この場で童貞の新人君で希望者に先着何人か味見と筆おろししてやるよ」
また、しばしの静寂のあと。
まだローティーンの少年兵士がフラフラと、三人くらい彷徨い出てくる。それ以外にもギラつく男の欲望と、名乗り出ることが出来なかった幼年者たちの羨望の眼差しが、壇上に集中する。
スーは可愛らしい少年兵士たちに、好色そうで面白半分な好奇心ながらも、どこか優しい表情をする。そして呆れ咎めるようなからかいの目と口調で告げた。
「これから何するか、わかってるか? とりあえず、ズボン脱げよ。到着祝いに初物食ってやるんだから、有難く思って、私を神だと崇め奉っとけ」
その場は大爆笑と、歓声や拍手に包まれる。
荒んだ世界と社会環境ゆえにユーモアや愛と優しさに飢えていた。
スーは自分自身の生まれ育ちからも、その事が直感的にわかっていて、悪行の是非はともかく共感や同情がなかったわけでもないからだ。若き日の母は飲んだくれた流れ者の客の男に強引なやり方で孕まされ、スーは義父とも仲が悪く、複雑な人生でもあった。
自棄的な暴挙ではあったものの、自分が人質交換に加わることで「何かが変わる・変えられる」かもしれないという、儚い希望も一抹。あらかたに結末は、荒んだ生活と性的虐使でボロボロになり、葉っぱや薬で気が狂って若死にするのが関の山だと薄々と感づいていた。少なくとも人質交換で、不幸な誰かは助かったし、それだけでも悪くない。この小さなチンポコをおっ勃てたガキどももに最高のプレゼントしてやれば、それも無駄でもないだろう。
順番にパクリと咥え込み、一人十数秒で片付ける。
後掃除のしゃぶりまでで二十秒弱の瞬殺だった。