(舞台裏NG)この世界の真実の夢-1
1
どうして疑問に思わないのだろうか?
巨大ロボットウォーカーの頭部や胸部にあるコックピット、もしも転倒でもしたら、高所から墜落死するのとあまり変わらないはず。しかし「アイタたた」で済んでしまう不可思議。
特殊技術のショックアブゾーバーがある説が有力。
しかし、他の仮設も成り立つ。
2
晩御飯の支度に、カプリコンの背中で鍋で肉と野菜を煮ていたら、相棒で恋人のパトリシアが転落した。
女だてらに立ち小便をしようとして転落死。
ちゃんとズボンを脱いだ方が安全と、あれほど言ったのに、膝と足首に絡まって、尻を出したままバランスを崩して墜落死。悲劇ながらに、途轍もなく滑稽な有様であり、見下ろしたセラは「くっ」と少しだけ笑ってしまったのは内緒。
彼女が慌てないのは理由がある。
実はこの世界はバーチャル仮想現実。
人類はとっくに滅亡していて、巨大コンピュータが「もしかしたら」の夢を見ている、仮想現実の未来。
だから死んでも(主要人物は)復活する。
ただ、コンピュータの気まぐれを当てにして安易に死にまくるのも考えものだった。
3
料理中に傍で小用を足したパトリシアが戻ってくる。
「どうしたの? ボーッとして」
「え? う、ん? 変な夢を見てたの」
狐につままれたようにセラは目を瞬いた。目の前で鍋がグツグツと煮えている。
さっきパトリシアが(略)。
ちょっと話しづらい、居眠りのうたかたの夢だった。